【インタビュー】 静岡県立大学食品栄養科学部 熊澤茂則教授
――プロポリスは新型コロナウイルスに対して有効か?
COVID-19が拡大し始めた最初の頃は、コンピュータ計算によるシミュレーションによって、プロポリスに含まれる化合物が、新型コロナウイルスが増殖する際に必要とする酵素を標的にできるかどうかを調べる研究が盛んに行われていました。そして、プロポリス由来の化合物が、新型コロナウイルス増殖に対する潜在的な薬剤候補となることが示されました。また、試験管レベルでのモデル系で、ポプラ由来プロポリスの抗ウイルス効果も検証され、関与成分としてフラボノイドやカフェ酸フェネチルエステルが挙げられていました。このように、プロポリスがCOVID-19に対して有効に利用できる可能性が期待されていました。
その後、プロポリスを用いたCOVID-19に対する臨床実験が行われるようになってきました。例えば、あるブラジルの研究グループは、COVID-19によって入院している患者にブラジル産プロポリス抽出物を投与した臨床実験結果を報告しています。COVID-19入院患者124名を、無作為にプロポリス抽出物400mg/日または800mg/日を7日間経口投与する群と、標準治療のみを受ける群とに分け、プロポリス投与による臨床的な改善効果を比較しました。その結果、プロポリス投与によって急性腎臓障害の発生率が対照群よりも有意に低いなど臨床的な有益性が観察され、特に入院期間の短縮が見られたことを報告しています。プロポリス投与による有害事象の発生もなく、プロポリス治療を中止した患者はいなかったそうです。この研究結果から、プロポリスをCOVID-19治療において補助的に利用することが有効な方法であると提案されています。つづく
詳しくは健康産業新聞1739号(2022.5.4)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら