【有識者に聞く】 麻布医院院長 高橋 弘 氏

◆高GI食品はインスリン分泌を過剰に促す

 

 同じ糖質量を含む食品であっても、食べた後の血糖値の上昇値には開きがある。白米やウドンを食べた後は血糖値が上がりやすく、逆に玄米や蕎麦は上がりにくい。食品の血糖値の上がりやすさを示す指標としてGI値がある。食品に含まれる糖質が体内でブドウ糖に変わり、血液に吸収されるスピードを数値化したもので、お米なら体内でアミラーゼが作用し、ブドウ糖に変わって体内に吸収される割合を示す。一方で、アガベシロップという甘味料は、ブドウ糖やショ糖と比べてGI値が低いことから食後血糖値の上昇が緩やかなことが分かっている。近年の研究では、GI値が高いほど血液中に入り込むブドウ糖の速度が速く、過剰なインスリン分泌を促すということが分かってきた。ただ血糖値が高いという事だけではなくて、インスリン分泌量を増やすという点は、非常に重要なポイントになる。GI値の高い食品を日常的に摂取する事は、肥満、糖尿病、中性脂肪、コレステロールの増加の原因となるだけでなく、高インスリン血症の原因となり、様々な疾患を引き起こす。

 

 インスリンが血糖値を下げることは言うまでもない。筋肉中でブドウ糖を細胞の中に取り組むこと、肝臓で糖をピルビン酸に分解する解糖系を促進するなどの働きがある。さらに、新たに糖を作る糖新生を抑制する作用もある。人間はお腹がすいてくると血糖値が下がるため、アミノ酸やピルビン酸、グリセロールを使って自らブドウ糖を生成する。これが糖新生と呼ばれる反応だ。インスリンには、この糖新生を抑制する作用もある。また、インスリンは糖だけでなく、タンパク質の代謝にも作用しており、筋肉へのアミノ酸の取り込みを促進し、タンパク質の合成を高め、分解を抑制する働きがある。つづく

 

 

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