特集【機能性糖質・甘味料】 糖質制限背景に、代替甘味料の市場開拓進む

 コロナ太り、糖質制限などを背景に、消費者は砂糖を避ける食行動に変わってきた。その流れを受けて、原料サプライヤーでは、トウモロコシ、テンサイ、オオムギなどの自然素材を原料とした機能性糖質や甘味料の製品開発、用途提案が活発化している。スーパー、ドラッグストアでは、オリゴ糖、羅漢果、アガベシロップなどの天然甘味料が売り場に並び、食卓では卓上タイプの商品が他の調味料と共に並ぶ光景を見かけるようになった。一方で、従来の甘味料いわゆる砂糖の消費量は下降が続く。1972年の統計では、日本の砂糖消費量が1人当たり30kg/年だったのに対して、2020年は15.6kgと約半分近くまで落ちている(国際砂糖機関年鑑より)。砂糖の製造メーカー11社で構成する精糖工業会によると、精製糖の生産量は2019年が157万t、2020年が145万tと、減少傾向が続いているという。

 

 医師などの専門家による精製糖の過剰摂取による警鐘も影響しており、糖尿病や肥満などの生活習慣病を予防するため、精製糖を避ける傾向が年々強まっている。WHOは、2015年、「糖類の摂取を1人当たり1日50gから25g以下にすることを目標とする」と発表した。健康長寿を目指す日本では、今後も砂糖を控える傾向になりそうだ。業界関係者は、「砂糖ほど完璧な甘味はない」と言い、人々の甘味を求める行動も変わらない。ただ、この数十年で求められる甘味の質が変化してきたといえる。こうした中、大手製糖メーカーの三井製糖と大日本明治製糖が昨年4月に統合。新会社DM三井製糖ホールディングスとなり、今年より国内最大の製糖メーカーとして製糖事業を本格的に開始する。一方で製糖事業とは別に、「パラチノース」をはじめ様々な機能性糖質を開発、海外展開も強化するとしている。また、上記の工業会各社も、製糖事業に軸足を置きながらも、機能性糖質の製品開発にも注力する。

 

 食品・飲料に使われる機能性糖質は、エリスリトール、マルチトール、羅漢果、オリゴ糖、パラチノース、プシコース、ステビアなど。脂肪燃焼や腸内環境改善、便通改善、持久力維持、非う蝕などを訴求し、スポーツ用途、生活習慣病対策、体重管理、オーラルケア用途など利用が進む。機能性表示食品の関与成分では、「パラチノース」「プシコース」「フラクトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」「乳糖加糖オリゴ糖」「ラフィノース」「マルチトール」が受理されている。ステビア甘味料は、塩味をまろやかにする目的で、漬物や総菜など一般食品に食品添加物として長年使われてきた。近年は、甘味としての利用が拡大。若者に人気のドリンク『チルアウト』の甘味づけに採用されている。つづく

 

 

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