【学術トピックス】岡山大学 水素ガス長期的吸入、急性呼吸促迫症候群への有用性

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)救命救急・災害医学の青景聡之助教、内藤宏道准教授、中尾篤典教授の研究チームは2月17日、長期的な水素ガス吸入を小動物の急性呼吸促迫症候群(ARDS)を模したプレオマイシン肺傷害に対して行うことで、慢性期の肺の器質化(線維化)と呼吸機能低下が緩和することを示した研究成果を発表した。

 

  今回の研究では、ARDSを模したブレオマイシン誘発肺傷害モデルに対して、水素濃度3.2%、3週間、1日6時間の水素ガス吸入を行うことで、肺内の炎症性サイトカイン(インターロイキン6、同4、同13)の発現を抑制し、結果的に慢性期の肺の器質化が軽減されることを示した。また肺の中の組織変化(顕微鏡による視察)だけでなく、呼吸機能の悪化(肺胞コンプライアンスの低下、肺胞エラスタンスの上昇)が緩和されることを世界で初めて証明した。さらに器質化抑制の機序として、肺内の免疫細胞である肺胞マクロファージにおけるインターロイキン6の産生低下と、肺の線維化に機能する免疫細胞(M2様マクロファージ)の出現率低下、線維化を誘発する分子(TGFβ)を分泌する細胞の減少が関与することが示唆された。同研究成果は、令和3年10月31日付けで英国の呼吸器内科雑誌『BMC Pulmonary Medicine』のResearch articleとして掲載された。

 

 

詳しくは健康産業新聞1738号(2022.4.20)で
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