特集【ニンニク】 「エビデンス」「汎用性」で新需要開拓 研究会設立も

 ニンニクは健康食材として世界的な注目を集めている。アメリカ国立がん研究所(NCI)が公表した「デザイナーフーズ・ピラミッド」では、がん予防に有効な野菜、果物、穀物など37品種のうち、ニンニクを最上位に位置づけている。ドイツではアテローム性動脈硬化対策の医薬品に、アメリカではダイエタリーサプリメントとして心疾患やコレステロール対策のヘルスクレームが認められている。

 

 ニンニクは様々な薬理作用が確認されており、その作用にはニンニクの特徴的な主要成分・有機イオウ化合物が重要な役割を果たしている。なかでも主要な成分がアリシンとスコルジニン。アリシンは、ニンニク特有の刺激臭を有するほか、強い抗菌作用をもつスコルジニンは、ビタミンB1の働きを高め、疲労回復作用などをもつ。機能性研究では、疲労回復、睡眠障害・ストレス改善などをテーマとした取り組みが進んでいる。近年は生のニンニクを独自の製法で熟成させることで機能性を高めた「黒ニンニク」も定着した。発祥は三重県とされるが、現在は青森県でも協同組合青森県黒にんにく協会を中心にブランド化が進められている。健康食品原料や調味料としての利用が広がっている。

 

 昨今の市況について、サプライヤー各社に聞き取りしたところ、ニンニク市場は「伸長している」と回答した企業が多かった。その背景に「加工食品での採用が増えている」「健康食品のみならず、ゼリーやペースト形状の採用が増えた」「新商品の多様化とともに、販売先も増えた」「黒ニンニクを中心に需要が高まった」「乾燥チップの需要が増えた」「他の野菜と比較して需要期の価格が大幅に下落しなかった」などの声が。今後の市場動向について、「青森県産はブランド化されているため、海外での需要も高まっている。海外による買い負けを危惧している」「新型コロナの影響で外国産が一時的に減少傾向にあったが、現在は回復傾向にある。国産原料の安定供給と価格の安定化が今後の課題」といった声があった。つづく

 

詳しくは健康産業新聞1737号(2022.4.6)で
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