特集【注目の昆虫食】 「SDGs」「旨味」「栄養価」で新たな市場開拓を

 世界の昆虫食市場が拡大している。Barclays社が発表した調査結果によると、2019年度の市場規模は70~150億円。2030年度は8,000億円に拡大すると予測している。昆虫食が注目を集める契機となったのは、FAO(国際連合食糧農業機関)が2013年に発表した報告書にある。「世界は深刻な食糧問題に直面している。近い将来、人口増加に伴い動物性タンパク質の需要が増し、食糧や家畜の飼料が不足する」と指摘。「昆虫食は栄養価が高く、家畜に比べて低コストで飼育でき、地球環境と人々の健康に貢献する」と提唱したことで、市場形成が本格化した。

 

 国内市場の起爆剤となったのは良品計画の『コオロギせんべい』。即日完売したことが話題となり、食用昆虫の認知度が高まった。その後、昆虫食市場に参入する企業が相次ぎ、昨年は100円で買える昆虫食も登場。100円ショップ・ダイソーでは『コオロギせんべい』を昨年11月から販売した。今年はペットフードの商品化も。ドギーマンハヤシは2月、ハムスター・フェレットなどの小動物向けおやつを発売した。「健康のためにはペットも多くのタンパク質が必要だ。地球と生命が健やかになれるサステナブルな世界を目指したい」としている。昆虫食は各種メディアの露出も目立つ。テレビでは今年2月、「サイエンスゼロ」(NHK)で、環境に優しい方法で飼育できることなどが紹介された。見た目や味が悪い“ゲテモノ”イメージから、昆虫はサステナブル食品としての立ち位置を構築しつつある。

 

 環境省が発表した「平成30年度 食品廃棄物等・食品ロスの推計結果」によると、日本の食品廃棄物は年間2,531tで、食品ロスは年間600万t。一人あたり換算で約48kgもの食品が廃棄されている計算だ。事業系の食品廃棄物を養殖に有効活用する取り組みが注目を集めている。グリラスは食糧残渣100%で既存品(市販)と同等のパフォーマンスを発揮できる餌を開発した。「今後も新しい残渣を混ぜ合わせる、もしくは置き換える方法で収穫量を増やしていきたい」としている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1737号(2022.4.6)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら