【話題追跡】 NMN市場拡大のカギは臨床データ

 CoQ10、プラセンタ、HMB、乳酸菌――健食素材のトレンドは、目まぐるしく変化する。市場に根付く素材もあれば、ブーム後はさっぱり名前を聞かなくなることも。消費者ニーズの変化や価格変動など、要因は様々考えられるが、主たる企業や団体がエビデンスを積み上げることは、市場に定着する素材に共通する特徴だ。
 

 現在、健食素材トレンドの1つに、NMNがある。本紙が昨年12月に健康食品の受託製造企業106社から回答を得たアンケート調査(複数回答)では、21年下期の人気受注素材として、NMNが26票を獲得してトップとなり、17年から4年連続で1位だった乳酸菌を抜いた。この結果は、単純な受注依頼数に基づいており、実際の取引額や出荷数と必ずしもリンクするものではないが、19年の非医薬品リストへの追加以降、NMNの需要が高まっている事は明らかだ。

 

 人気が高まった要因として、よく聞かれるのは、原料価格の安定化だ。国内トップシェアのNOMONは20年6月、「NMNの供給体制を強化し、10倍以上の供給が可能となった」とリリース。それまで1ヵ月分で約15万円だったNB品の値段を、一気に5万円以下まで下げた。それ以降、原料サプライヤー間で、値引き合戦が始まり、現在の価格相場はキロあたり約15万円。取引数量によっては、10万円を切るケースも見受けられる。原料価格の下落に伴い、販売メーカーも増加。昨年は協和、日清ファルマ、ロングライフ、ピルボックスジャパンなどが参入し、オープンマーケットでの展開に広がりが出ている。

 

 一方で、「エビデンスに乏しく、一過性のブームで終わる可能性もある。ベーシックの市場ボリュームは、乳酸菌の方がはるかに大きい」という指摘も。NMN研究では、ワシントン大学、慶應義塾大学、大阪大学等から研究報告がされているが、臨床データはまだまだ少ない。特に摂取量と効果の相関性が曖昧で、「すぐに効果は出ないが、未来への投資だと思ってNMNを摂取してほしい」というような売り方も少なくない。“夢の若返り”を裏付けるエビデンスが蓄積されれば、単なるブームではなく、市場への定着が見込まれる。NMNメーカーの最新研究に注目が集まっている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1731号(2022.1.5)で
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