【話題追跡】 ″昆虫食″を食べる理由は何なのか

 “ゲテモノ扱い”されることの多かった昆虫素材が、食料危機を救う代替食品として利用できると近年話題を集めている。日経トレンディが報じた2021年ヒット予測では、昆虫食が5 位にランクイン、無印良品の「コオロギせんべい」が即日完売するなど、“昆虫を食べる”という食のスタイルがじわりと浸透している。取材先からは、「製菓・製パン、製麺、健康食品メーカー、レストラン、ペットフード関連、お土産物、スポーツフード製造企業など、幅広い業種から問い合わせが増えている」とする。一方で「一過性のブームで終わらせないために、昆虫食ならではの付加価値を発信していく必要がある」といった冷静な見方もある。ゲテモノの延長で話題となった側面があるからこそ、「なぜ食べる必要があるのか、具体的な説明が必要だ」とサプライヤー各社は口を揃える。

 

 昆虫食の訴求方法のひとつに、機能性を打ち出していくことがある。北里大学獣医学部の落合優氏は、「昆虫にはリン脂質が豊富に含まれ、その量は畜肉や鶏卵、大豆と同様またはそれ以上だ。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンが中心で、リン脂質を構成する脂肪酸はα―リノレン酸(トノサマバッタ、シルクワームの場合)、リノール酸(コオロギの場合)が多い」という。山口大学農学部准教授の井内良仁氏は、マウスを用いた実験で、「トノサマバッタを与えたグループで体重減少と脂肪蓄積抑制を認めた」との研究成果を報告している。また昆虫食の付加価値について、参入各社が可能性を秘めると信じてやまないのが“SDGs”だ。「将来の食料危機」を意識した消費が広がりつつある中、「昆虫食=サステナブル」をどのように訴求していくのか、模索が続く。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1722号(2021.8.18)で
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