【学術インタビュー】 広島大学大学院医系科学研究科口腔生物工学分野 二川 浩樹教授

 ヒトの口腔内から採取されるL8020乳酸菌(ラクトバチルスラムノーザスKO3株)。口腔フローラを改善する乳酸菌としてヨーグルト、サプリメント、タブレット、ペットサプリなど多く商品に利用されている。同菌は、他の乳酸菌と比べて、口腔粘膜での安定性が高く、粘膜免疫を活性化させることが分かっている。さらに最新研究では、継続的に摂取することで、口内の歯周ポケット(PESA)やミュータンス菌を減少させることが新たに分かった。L8020乳酸菌研究の第一人者である広島大学大学院の二川浩樹教授に研究の詳細と、菌の利用状況について話を聞いた。

 

―― 最新の研究成果について

 

 新たな知見として、L8020菌を配合したチョコレートを摂取することで、歯周組織の状態を改善する可能性が示された。試験対象は、20代の女性34人(平均年齢20.8 ±0.95歳)。チョコレート摂取群とプラセボ群に分け、試験前、2週間後、4週間後の口腔内環境を評価した。その結果、摂取群はプラセボ群と比べて、歯周ポケットの総面積(PESA)が有意に減少した。チョコレートは手軽に摂取できる食品であり、継続した摂取により、口腔疾患の予防の一助となることが期待できる。

 

 また口腔検査センターの北川先生と共同研究で、L8020乳酸菌入りタブレットを摂取することで、口内のミュータンス菌が減少することが分かった。ミュータンス菌は、歯垢内に多く存在し、歯の表面の歯垢と反応すると乳酸発酵し、むし歯の原因となる。タブレットの摂取期間に比例して、ミュータンス菌が減少。脳出血を引き起こすcnm遺伝子を持ったミュータンス菌についても有効だった。これらの研究成果については、年内に開催される日本口腔検査学会、歯科衛生学会で発表する予定だ。つづく

 

 

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