【話題追跡】 大麻取締法見直しへ「部位ではなくTHCで規制」

 大麻等の薬物対策のあり方について検討してきた厚労省の有識者検討会は5月14日、大麻について、部位ではなくTHCに着目した規制に見直す方針を示した。この日示された取りまとめ案には、①大麻取締法の規制の見直し、②大麻に含まれるカンナビノイドを用いた「大麻系医薬品」の規制緩和、③嗜好用大麻の乱用を防止する大麻使用罪の創設などが盛り込まれた。

 

 ①について、現行法では花穂、葉、未成熟の茎など大麻草の部位による規制を行っていたが、幻覚作用を持つTHC(テトラヒドロカンナビノール)に着目した規制に見直す。これは、葉や花穂にはTHCが多量に含まれており、抽出部位を確認す際に、THCの含有の有無を判断基準としている実態を反映したもの。また海外では、THCの含有量によって規制されているケースもあり、「人体への有害性、捜査現場における検出方法等を精査した上で、含有量についても検討する」としている。

 

 ②について、難治性てんかん薬『エピディオレックス』をはじめとする大麻系医薬品、および大麻由来成分を用いた治験の実施に関する法整備を行う。これは、モルヒネなどすでに医療用麻薬は数多く存在しており、現行の麻薬および向精神薬取締法に規定される免許制度などの流通管理の仕組みを導入することを前提とした規制緩和について検討するもの。委員からは「大麻そのものを医療用に用いる、いわゆる“医療用大麻”と、CBDやTHC等を用いた“大麻系医薬品”は明確に区別するべき」という声も聞かれた。

 

 ③については、①②を受けて、医薬品としてではなく、嗜好用として大麻を使用した際の刑罰について明確化する。これは、使用罪がないことを理由に、嗜好目的で大麻を使用した人が2割いたこと(2019年警察庁調査)、農家が麻を収穫する際に、THCにより気分が悪くなる症状“麻酔い”がほとんど確認されなかったことを踏まえて、他の薬物法規と同様に、大麻取締法に使用罪を導入することを検討する。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1717号(2021.6.2)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら