【インタビュー】 JIHFS理事長・池田秀子氏

――GMP認証の現状について。

 

 認証取得状況は46社54工場(2月末現在)。初回は事前監査と本監査を経て認証、3年ごとの更新と毎年1回の中間監査を行う。昨年2月以降はコロナ禍の影響で実地監査が困難になり、書面監査に切り替えた。しかし、書面監査には限界もあり、可能になり次第、実地監査に戻す方針である。

 

 審査会は、監査報告書を踏まえて各施設の状況を把握し、課題解決のための最終判断を行うが、その審査には通常、1施設あたり2時間程度を要している。GMPによる品質管理に要求するマンパワーと技術の育成には時間がかかる。GMP認証取得企業は並々ならぬ労力をかけてレベルアップに努めている。そうした企業が市場の国際化の中で活用できるよう、米国FDAのサプリメントcGMPを視野に入れた指導を行うと共に、2005年のGMP認証開始時から、日本語と英文の両方の認定書を発行している。

 

――GMPの認知度や課題について。

 

 品質の確保は、機能性表示食品でも大きな課題となっている。GMPや品質の考え方が、認証開始後15年を経てようやく業界の基盤として位置付けられるようになったが、まだまだ課題も多い。昨年6月施行の改正食品衛生法で、指定成分含有食品に係る製造・品質管理についてGMPの告示がなされ、かつての平成17年厚労省「錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」とはワンランク違うものに。

 

 錠剤・カプセル状食品には通常の食品とは異なるリスクがあり、特に「指定成分」を取り扱う場合は、安全性確保の観点から一段と厳しいGMP要件が課されたのも当然。昨年末、経口抗真菌剤への睡眠剤混入による事故や副作用問題が発覚したが、GMPについて何十年もの経験をもつ医薬品業界でも品質に関わる問題は後を絶たない。健康食品業界も製品や原材料の品質確保のための実質的取り組みをしていくことが大切。サプリメントに多い成分量のバラつきやコンタミの問題など、製造工程管理は勿論、目的とする製剤が間違いなく製造されることを検証する作業(バリデーション)は今後必須になるだろう。第三者機関を通したGMP認証は、健康食品の品質を保証するための責任の一端を担っている。GMPをやる企業とか、やらない企業とかという状況であってはならない。

 

 今後は、“科学的エビデンスに基づく品質づくり”を、個々の企業と一緒にやっていかなければいけない時代に来ていると考えている。このほど検討の開始された「疾病リスク低減表示特保」ともなると、崩壊性、機能性、安全性と品質の確保がさらに大きく問われるので、そうしたことを視野に入れて活動していきたい。丁寧な審査と指導はまさにそのためであり、本年はGMP運用をより深めて頂くための教育に力を入れていきたい。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1711号(2021.3.3)で
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