【話題追跡】 米国でカンナビノイド規制緩和の動き

 米国最大の総合格闘技団体であるUFCは1月15日、ドーピング成分リストを改定。大麻を由来とするCBDおよび植物性カンナビノイドが全てリストから除外された。植物性カンナビノイドの1つであり、興奮作用のあるTHCについては、選手が陽性
反応を示した場合でもパフォーマンス向上を目的とし故意に使用した場合を除きドーピング違反とはみなさないという。


 UFCは裁定変更の理由として、尿検査におけるTHC濃度のバラつきを指摘し、「THCは油溶性のため一度、体内に摂取されると脂肪組織に蓄積され、血液循環の中に戻されることがある。そのため競技外での尿中レベルの数値には、大きなばらつ
きが出てしまうため、理想的な指標にはならない」としている。一方で、アスリートの大麻使用を規制する方針は変わらず、「試合の数日前や数週間前ではなく、当日のTHCの数値を裁定の基準とする」と補足した。


 米国では、2018年に農業法が改正され、THCが0.3%未満の麻を、産業用ヘンプとして栽培することが可能となった。それ以降、CBD市場が急速に拡大しポピュラーなCBDオイルのほか飲料、ガム、チョコレート、化粧品などが続々と登場した。スポーツ分野でも抗炎症やストレスの緩和、睡眠の質改善などを目的にサプリメントの利用が進んでいた。今回CBDの使用を容認したUFCは、世界172の国と地域で視聴される人気番組だけに、その影響は米スポーツ界だけに留まらない。

 

 こうした中、米国農務省(USDA)が1月19日、産業用ヘンプの生産規則を緩和している。約5,900件のパブリックコメントに基づく新たな規則では、サンプリング検査用のヘンプを収穫日から30日以前に採取したもの(これまでは15日以内)とし、THCの濃度基準は1.0%未満に緩和された。米業界紙NBJは、「米国内でのヘンプ生産がより安定化するとみられる」と報じており、日本へ輸出される米国製CBD製品についても価格の安定化が見込まれる。つづく

 

 

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