慶應義塾大、毎日1時間の水素吸入に降圧効果を確認

 慶應義塾大学医学部内科学(循環器)教室の佐野元昭准教授、同医学部の小林英司特任教授、同医学部緊急医学教室の多村知剛助教の研究グループは、日本獣医生命科学大学獣医保健看護学科の袴田陽二教授らとの共同研究で、毎日1時間の水素吸入に、高血圧モデルラットの血圧を下げる効果があることを証明した。

 

 研究グループではまず、ラットを収容するケージ内のガス濃度を均一に保つシステムを構築。このゲージで「5/6腎摘慢性腎不全モデルラット」を、水素含有混合ガス(水素1.3%+酸素21%+窒素77.7%)、もしくは、水素非含有混合ガス(酸素21%+窒素79%)で満たされたケージ内に毎日1時間収容した結果、4週間後には水素含有混合ガスを吸わせたラットでは、水素非含有混合ガスを吸わせたラットと比較して、高血圧が有意に改善していた。

 

 次に、無麻酔・無拘束下で血圧・心拍数の変動を24時間記録した結果、毎日1時間の水素吸入によって、夜行性のラットが安静に過ごす昼間だけでなく、活動が活発で血圧が上昇しやすい夜間の高血圧も改善していることが明らかとなった。さらに、自律神経活動評価を行った結果、「5/6腎摘慢性腎不全モデルラット」における血圧と心拍数の減少と一致して、自律神経機能障害(交感神経の過度の活性化と、副交感神経活動の過度な低下)が、水素吸入によって改善されることが証明された。

 

 研究チームでは、「水素吸入の降圧効果は、効率的に脳に運ばれた水素が、交感神経系の過度な活性化を抑えるという機
序に基づくことが示唆された」としている。同成果は11月26日(英国時間)、英国ネイチャー出版グループの『Scientific
Reports』電子版に掲載された。

 

 

詳しくは健康産業新聞1705号(2020.12.2)で
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