別冊特別企画『九州~健康産業~』② キーマンに聞く 九州大学・清水邦義氏

 産学官の連携強化を進める九州。機能性表示食を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡県バイオ産業拠点推進会議)に参画する九州大学農学研究院の清水邦義氏に、運用6年目となる同事業の活動などについて話を聞いた。

 

――「目利き調査事業」の活動について

 

 機能性表示食品制度の初期は、ヘルスクレームも特定保健用食品の延長線上だったものが多かった。届出件数が増え、生活習慣に依存するメタボ対策から、認知機能やメンタルヘルス、睡眠、肌、ロコモ分野、さらに免疫系へとヘルスクレームの範囲が当初の予想を超える広がりを見せている。そこには、with/afterコロナ時代に対する健康不安の意識の表れ、それに対応する行政のメッセージとも捉えてよいのかもしれない。

 

 目利き調査事業もカバーする範囲が多くなり、新規素材、新規機能に対する挑戦的な事例も増えてきている。昨年度は、カルノシンなどのイミダゾールジペプチドを関与成分とした博多地どりの機能性表示食品が受理されるなど、ユニークな素材での展開もみられる。今年度は、目利き調査事業から展開した目利き臨床試験において、サフランを機能性関与成分とした機能性表示食品が大手食品メーカーから登場した。

 


 それ以外にも、発酵食品や、プラセンタ、水素、キノコなども目利き調査事業を発端として、産官学での研究開発(臨床試験、関与成分分析)が加速しており、新規素材による機能性表示食品開発の道が格段に開けている。また、中小企業者も機能性表示食品開発までのプロセスについて理解が進み、実施におけるハードルが下がりつつあることを実感する。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1704B号 別冊特別企画『九州~健康産業~』(2020.11.18)で
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