【コラム】 ネットワークビジネスに思う

 あるネットワークビジネスのコンベンションをオンラインで取材した。ネットワークビジネスとは、会員(ディストリビューター)が新規の個人に商品を紹介販売してその売上げの一部をマージンとして受け取る小売方式。新型コロナ禍では、僅かな補償による自粛要請で多くの民間企業や個人事業主は多大な損害を被っている。帝国データバンクによると10月2日現在のコロナ関連倒産は576にのぼる。9月時点でコロナに伴う解雇や雇止めは6万人を超えたと発表された。同ネットワークビジネスのトップは、「こんな時だからこそ、ネットワークビジネスにとってはチャンスだ」と、新規会員の獲得を呼び掛けていた。

 

 ネットワークビジネスと言えば、一般紙やテレビなどの報道では「マルチまがい」「ねずみ講」などと悪者扱いをされている。しかし、こうしたコンベンションを取材する度、経済的に成功を収めた上位会員からは、このビジネスによって豊かな人生になったとの話を聞く。借金に首が回らない状況からトップディストリビューターになった人、シングルマザーから一念発起して成功した人、80歳を過ぎてなお月収が100万円以上の人…など、多くの成功者が実体験を涙ながらに話す姿を見ていると、一概に悪と括り付けることには違和感を覚える。

 

 実際、米国を起源とするネットワークビジネスは、今では世界中で展開されている。良い商品を口コミで伝え、その対価として金銭を得る。確かに全ての会員がトップになれる訳ではないが、それは実社会でも同じことであり、色眼鏡を外して見れば、1つの小売業のスタイルとして「十分あり」ではないか思う。終身雇用のなくなった現代、人は一生涯で何度か転職すると言われている。働き方改革が進む中で副業を推奨する企業も増えてきている。こうした労働環境の下、専業でも副業でも参加でき、定年もないネットワークビジネスに参加する人が、今後確かに増えるのではないか…コンベンションを取材しながら、そんなことを思った。

 

 

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