中国越境EC市場、コロナ後に「完全回復」

 新型コロナパンデミック後の中国市場ではいち早く“新しい日常”が始まった。感染期間中の1〜3月期から昨年対比でECが19%増、実店舗は13%減となり、国内・越境合わせてECシフトが急激に加速した(インテージ・Kantar Worldpanel)。日本製品の越境ECによる購入は活況で、安全・安心のイメージからベビー用品や健康食品、医薬品が特に好まれる。トレンドExpressが行った中国SNSへの口コミ数をもとにした分析によると、2019年の中国消費者の日本商品購入ランキングは、トップが『ピジョン 薬用ローションももの葉』(ベビー用品・ピジョン)、2位は『口内炎パッチ大正A』(医薬品・大正製薬)、3位は『龍角散のどスッキリ飴』(食品・龍角散)となった。


 中国のEC市場規模は70兆円以上といわれるが、現在のEC市場の鍵を握るのがKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーだ。ECで海賊版商品が多数流通した経験をもつ中国では企業の宣伝よりも、KOLの紹介に信頼が厚い。KOLマーケティングの市場規模は、中国ビジネス産業研究所の調査では2020年までに3,400億元(5兆2,000億円)に達すると予測されている。特に近年の中国KOLマーケティングで注目を集めているのが「ライブコマース」だ。ライブ配信を行いながらテレビショッピングのように商品を販売するが、テレビショッピングと大きく違うのは、視聴者が疑問に思ったことをすぐにKOLに質問できる双方向性にある。

 

 ライブコマースは、2019年6月の時点でユーザー数は4億3,300万人に達している(中国ビジネス産業研究所)。中国でもコロナ禍による影響は大きく、国内・越境双方ともECは打撃を受けたが、毎年6月18日の京東(ジンドン)設立記念日に向けてEC各社が熾烈な商戦を繰り広げる「618商戦」では、特に今年はアフターコロナの一大ECイベントとして注目された。中国・NUCCによると期間中の各社の売上は対前年比42%増の1兆691億元(17兆円超)。越境ECのジンドン国際は昨年対比110%増、TMALL国際は43%増と“完全回復”といえる好業績を記録した。いち早く回復した中国越境EC市場に日本からの期待が高まる。

 

 

詳しくは健康産業新聞1699号(2020.9.2)で
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