特商法改正へ、悪質定期購入商法を規制
大問題になっている悪質な定期購入商法の規制が強化される。消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」は8月19日、一部の悪質事業者による「詐欺的な定期購入商法」の規制を強化する方針を盛り込んだ報告書を発表した。消費者庁は今後、報告書をもとに特定商取引法の改正案を作成し、来年の通常国会への提出を目指す。一方で報告書では、健全な事業者活動を阻害しないよう配慮することを求めた。
報告書の骨子は、①販売を伴う預託等取引契約の原則禁止、②消費者被害の拡大防止等を図るための措置、③詐欺的な定期購入商法への対応、④新たな日常における課題への機動的な対応――など。①に関しては、近年では健康器具販売のジャパンライフが繰り返し行政処分を受け、検討委員会でも問題視された。委員からは「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止は歴史的判断。期待する」など賛成意見が相次いだ。②では、特商法の「不実告知等の禁止」規定に違反した場合、違法収益の没収を可能とするレベルの罰則の引き上げを検討すべきとした。③の「詐欺的な定期購入商法」は、初回に無料または低額な金額を提示したうえで、消費者の意に反して2回目以降に高額な金額を支払わせるというもの。消費者が定期購入であることを容易に認識できないような形で表示を行う手口や、定期購入であることを示し「いつでも解約可能」と称して健康食品や化粧品などの契約を結ばせ、解約に応じないといった手口が挙げられている。
国民生活センターによると、定期購入に関する消費生活相談件数は、2015年の4,141件に対し、2019年は4万4,713件と10倍以上に急増していた。報告書では、特定商取引法に基づくガイドラインの見直しや、法執行を強化する必要があるとした。検討委員会では、広告画面および申込画面において価格や契約内容・解約条件を容易に認識できないような表示は禁止すべきとの指摘が出ている。さらに、ECモールに出品する事業者に行政処分を行っても身元を把握できない事例があることから、販売業者等に対する追跡可能性の確保が必要と指摘した。
報告書では、健全な事業者の活動や、デジタル分野のイノベーションを阻害しないよう、最大限の配慮をすることが重要と強調。消費者被害を発生させる悪質事業者にターゲットを絞った実効的な制度改革を実行するとした。検討委員からは、「悪質商法の兆しの段階で、情報連携して早めに芽をつみとる。早期のアラートで予防できる仕組みを」と求める声が聞かれた。つづく
詳しくは健康産業新聞1699号(2020.9.2)で
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