【海外情報】 米国・GNC再編へ コロナ禍でECシフト加速

■世界的サプリメントブランドのGNCにロックダウンの荒波

 

 米国では3月から始まったロックダウンの影響がサプリメントブランドの重鎮にも大きな影響を与えた。米国・カナダなど約50ヵ国に約7,300店舗のサプリメントショップを展開する米国・GNCホールディングスは6月23日、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条を申請すると発表した。米国の業界紙「ニューホープ」によると、同社が売上高と収益の減少、負債に苦しんでいた中、新型コロナウイルスのパンデミックが襲い、ショッピングモール内に出店していた店舗など900店舗が閉鎖されたことが打撃になったとしている。

 

 ロックダウン中、米国で健康食品の売り上げが好調となったものの、ショッピングモールの閉鎖で店舗営業ができなくなった形だ。同社は事業売却を計画しており、筆頭株主のハルビン製薬グループホールディングが 7 億6,000万ドルでの売却で基本的に合意しているという。これまで注力していた店舗展開を適正な規模に見直し、少なくとも800から1,200の店舗を閉鎖。また今後は店舗内でオンライン購入できるサービスを開始するなどECやオムニチャネル化を進めるという。

 

アメリカ市場は免疫・リラックス等盛況、ECへ消費者シフト

 

 アメリカの健食市場は、新型コロナウイルスのパンデミック後、大幅成長が見込まれている。米国の調査会社SPINSの報告ではロックダウンが行われた米国の3月の健康食品はじめ天然製品の売上は、免疫サポートやリラックス分野の伸びが著しく、昨年対比178%の成長となった。同時に、米国内では販売チャネルの変化が著しい。従来から成長基調であったECが2020年に爆発的に成長し61.4%成長。販売シェアは2019年の約10%から2023年までに約20%に成長する可能性があると米国の業界紙「NBJ」が予測している。

 

世界の健食市場トップ3は米・中・日、ASEAN諸国の高成長続く

 

 英国の調査会社ユーロモニターインターナショナルのデータによると、2019年度における世界のビタミン・栄養補助食品マーケットの売上シェアは1,095億ドルとなった。国別に見ていくと、アメリカが304億ドル、中国が237億ドル、日本が112億ドルとなったASEAN諸国における健康食品市場の成長は近年著しく成長率の高さは、ミャンマー(昨年対比18.2%増・0.9億ドル)、ベトナム(同11.3%増・6.5億ドル)、ラオス(10.6%増・0.2億ドル)がASEAN諸国でトップ3となった。

 

 ユーロモニターインターナショナルのアナリスト、スィーイン・ワン氏は3ヵ国の市場について、共通して政府と企業の双方によって健康食品の規制改善や消費者への普及が進んでいると分析。特にミャンマーは、健康食品と医療への消費支出の伸びがASEAN諸国の中で最も高く、2018年から2019年にかけて前年比13.6%でピークに達した。ミャンマーでは2050年までに高齢化人口が1,300万人に達すると予想され、加齢性疾患の予防に関連する製品の伸びが予想される。ベトナムでも高齢化が進み、ユーロモニターの統計では65歳以上の人口の伸びは、2018年から2019年に5%を示している。ベトナムでは特にグルコサミンが成長。また高コレステロール食品やアルコール飲料の摂取が原因で、プロバイオティクスや消化器系サプリの人気が高いという。ラオスは可処分所得が前年比12%上昇。ツバメの巣、コラーゲン、高麗人参などの製品が好まれ、特に高麗人参は2014年から2019年までの年平均成長率13%を記録している。つづく