【行政動向】 機能性表示「事後チェック指針」4月運用開始、「指定成分」制度6月スタート
◆機能性表示食品で事後チェック指針
予見性高まる? 運用に期待
消費者庁は4月から、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」の運用を開始した。これは、販売後に撤回が求められるなど、企業の予見可能性が低いという指摘を踏まえて策定したもの。消費者庁の法執行方針を明確にすることで、不適切表示への予見可能性を高め、さらに事業者サイドの自主点検・自主規制の取り組みを円滑にする狙いがある。
科学的根拠と広告表示で不適切とされる事例を列挙した。たとえば科学的根拠では、研究レビューの成分と、届出食品中の機能性関与成分の同等性が担保されない場合、不適切となる。広告表示は、「届出された機能性の範囲を逸脱」しているかがひとつの判断基準になる。たとえば“こんな悩みありませんか”と呼び掛ける形で複数の不安や悩みを列挙し、当該機能性表示食品だけではこれらのすべてが解消されない場合、問題となるおそれがある。
注意が必要な点は、「不適切性」は個別に判断されることだ。誤認を招くと判断されれば、従来通り撤回指導などを含めて関係法令に基づく対応が行われる。業界が求める「適切な表現の事例」は今後の検討課題として残された。事後チェック指針を受けて、業界団体も動き出した。健康食品産業協議会、日本健康・栄養食品協会、日本通信販売協会、日本抗加齢協会は5月29日、「エビデンスレビュー評価委員会」の設置を発表。産業協議会内に設置し、6月から運用を開始した。事業者からの依頼に基づきエビデンスレビューを行う。
◆定成分制度、プエラリアなど4成分
厳格な製造加工基準も
対象成分で健康被害があった場合の報告が必要とされる「指定成分」制度が6月に施行された。改正食品衛生法に基づき、特別の注意を必要とする成分として、コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュ ――の4成分を厚生労働大臣が指定。
今回改正の最大のポイントは、これらの指定成分を含む食品の健康被害情報の届出制度を創設すること。「健康被害を生じさせるおそれがある旨の研究報告等」も対象になる。健康被害情報は「健康食品の摂取に伴う有害事象情報提供票」に記載して届け出る必要がある。さらに、製造・加工する場合の基準を設定。施設ごとに、製造管理・品質管理の知識を有する「統括責任者」を置く必要があることや、製品標準書、品質管理基準書の作成などを厳格に定めた。
食品衛生法上の危害発生防止の観点から厚労省がこれらの措置を講じた一方で、消費者への情報提供の観点から、消費者庁が指定成分に関する義務表示事項を定めた。①指定成分等含有食品である旨、②食品関連事業者の連絡先、③指定成分等について食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物である旨、④体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨及び食品関連事業者に連絡すべき旨――を表示する必要がある。
消費者庁では6月1日以降に製造、加工、輸入した食品は、新たな規定に従って表示する必要があるとしている。5月29日には、4指定成分の試験法が都道府県に通知された。それぞれ規格に適合することを確認するための管理成分を設定。分析法、装置、試薬・試液、試験溶液の調製、分析条件などを示した。つづく
詳しくは健康産業新聞1696号「夏季特別号」(2020.7.15)で
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