IgA欠損症少ない国、「新型コロナ」死亡率低く

 アジア太平洋臨床栄養学会会長の渡邊昌氏、京都府立医科大学大学院の内藤裕二氏、㈱TTC代表取締役社長の山本哲郎氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症による国ごとの死亡数の違いとその因子を分析した総説「Host Factors ThatAggravate COVID-19 Pneumonia」を医学雑誌『International Journal of Family Medicineand Primary Care』で発表した。

 研究チームは、COVID-19感染症による死亡者数が国によって大きく異なることに着目。人口10万人当たりの死亡者数はスペインとイタリアでは30人以上、ヨーロッパ諸国の多くは10~20人、東アジア諸国は0.1~0.3人であることを指摘した。

 総説では、死亡率には様々な宿主因子が影響するが、感染初期には自然免疫が極めて重要なことに言及。その中で免疫グロブリンA(IgA)と分泌型IgA(s-IgA)は口腔や腸管の免疫を担っているとした。IgA欠損症は欧米やアフリカ、ブラジル、中東等では一般的だが、日本では非常に稀。「この違いがCOVID-19による死亡者数の違いを説明している可能性がある」とした。

 今回、国別のCOVID-19感染者数および死亡者数とIgA欠損者数との相関が示されたことで、PCR検査や抗体検査とは別に、唾液中の分泌型IgA測定を行うことが、簡便で費用対効果の高い対策になるのではないかとしている。つづく

 

 

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