【話題追跡】 新型コロナ禍で「洗浄系化粧品」ニーズ急伸

 本紙が5月中旬~6月上旬に掛けて、化粧品受託製造企業を対象に実施した取材・アンケート調査(有効回答76社)によると、今年上期の業績が前年同期比を下回った企業は、昨年調査よりも38ポイント増の45%に上り、経営状況について「悪かった」と回答した企業も同17ポイント増の30%と、新型コロナが、近年成長を続けてきた化粧品市場に急ブレーキを掛ける結果となった。

 一方で、厳しい環境下でも前年比を上回った企業も45%、その内 2 ケタ増を達成した企業も15%あった。新型コロナの影響が色濃くなった4~5月以前に売上を稼いだ企業が大半だったものの、20%の企業では新型コロナの影響は「特になかった」と回答している。

 販路別では、インバウンドや店販、サロン等が打撃を受けた一方、通販は影響が軽微だったほか、一足先に新型コロナが終息に向かった中国向けの越境ECルートでは「メイド・イン・ジャパン化粧品の購買欲が再燃している」との声も聞かれた。また今回の調査では、化粧水、クリーム、美容液のトップ3は変わらず、スキンケアの堅調ぶりがうかがえた。

 さらに新型コロナ禍、洗浄系化粧品の躍進が目立った。もともと人気上位のヘアケアを除くと、洗顔アイテムが5位、ハンドソープが6位、ボディソープが7位にランクイン。多くの消費者にとって感染予防を目的に手洗いや洗顔、洗髪など全身の洗浄が日常化している様子がうかがえた。在宅勤務の増加や温浴による免疫力アップへのニーズ向上から、入浴剤の売れ行きも伸びた。

 下期の人気予想では、アルコール系の除菌・消毒剤の過度使用による手荒れの問題から、ハンドクリームがランクイン。受託企業からのコメントでは、「ネイルクリームやネイルオイルなど爪のケアに特化したアイテムの引き合いが増えている」「マスクに色が付着しないファンデーションや口紅などの相談が増えている」「石鹸のニーズが高まっている」といったコメントも聞かれ、新型コロナを機に、消費者のライフスタイルの変化に伴うニーズに対応した化粧品のヒットや、新たな化粧品アイテムの創出を予感させた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1695号(2020.7.1)で
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