【話題追跡】 好調化粧品業界に降って沸いた新型コロナ、設備増強の反動に懸念も

 国内の化粧品販売金額は、外国人観光客の増加と並行して2016年以降、大きく成長。2019年には1兆7,000億円台に到達し過去最高を記録した。化粧品輸出金額も2018年には輸出が輸入の2倍に達するなど、ここ数年、国産化粧品は中国をはじめ外国人ユーザーの購買に支えられている。

 2019年は当初、1月の中国EC法の施行に伴うソーシャルバイヤーによる転売目的での購買や越境ECに対する規制、さらに中国景気の減退によるインバウンド需要の反動など、市場成長に水を挿す懸念材料も少なくなかった。実際、本紙が毎年化粧品受託メーカーを対象に実施している調査でも、こうした懸念を示すメーカーが少なくなく、2019年の業況に対し先行き不透明感が漂っていたが、結果的には前年比を超え、杞憂で終わったようだ。

 とはいえ不安要素もある。化粧品業界では近年の市場急成長を受け、本舗はもちろん、受託メーカーや原料・資材メーカーまでが、新工場建設や製造ライン増強など積極的に設備投資を行ってきた。現在は化粧品や原料・容器・資材の生産キャパは大幅に増強したことから、全体的にタイトだった生産・供給体制も改善しつつある。生産量の拡大を見越して設備投資に踏み切った多くのメーカーにとって、今後の課題は拡大した生産ラインの維持だ。

 こうした中、新たに降って沸いた懸念材料が中国に端を発した新型コロナウイルスだ。各社からはイン・アウトバンド需要をはじめ、原料サプライチェーンの停滞などを不安視する声が挙がっている。ある受託メーカーの代表は、「この問題が長引けば、海外向けはもちろん、国内消費にも相当なダメージになりかねない」とコメント。化粧品業界にとっては今期こそが正念場になりそうだ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞第1687号(2020.3.4)で
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