特集【サケ由来機能性素材】 ロコモ、美容など幅広い分野で伸長

 サケは、「捨てる部位がない魚」と呼ばれ、身にはアスタキサンチン、アミノ酸、ビタミンD、皮にはコラーゲン、鼻軟骨にはプロテオグリカン(PG)、コンドロイチン、白子(精巣)には核酸、プロタミン、卵・脂肪にはEPA・DHA、卵巣外皮にはプラセンタ様成分―― などが豊富に含まれている。各部位の有用成分を利用した健康食品、化粧品は数多く市場に流通しており、関連メーカーによる機能性研究が進んでいる。

 サケ卵巣外皮に含まれるプラセンタ様成分は、活力や疲労感軽減、妊活や更年期症状の緩和などのエビデンスが蓄積される。世界的に動物愛護、環境保護のムーブメントの広がり、動物を殺さず生産可能なプラセンタ様成分への需要は拡大しており、保湿、抗シワ、紫外線対策など肌関連サプリへの配合が進んでいる。また化粧品分野では、動物性原料の使用が社内的に禁じられている化粧品メーカーでも採用しやすいメリットから、国内の大手ブランド品への配合が進む。

 サケ鼻骨軟骨に含まれるPGは、タンパク質と糖鎖が結合した複合糖質の1つ。体内では軟骨や皮膚に存在しており、コラーゲン、ヒアルロン酸の働き、軟骨の復元を促すことで、肌の抗シワ、保湿作用、関節サポートなどの用途で健康食品への利用が拡大。『ロコモプロ』(ダイドードリンコ)、『リフタージュ』(サントリーウェルネス)など大手メーカーの定番商品に配合され、市場規模は、末端ベースで約400億円と推計される。

 青森県では、産官学連携により美容系・関節系データの蓄積が進められており、あおもりPG協議会の認証品数は、2018年、166品(前年160品)に到達。体感性が高く、リピート率の向上に繋がる点から、新規採用が増えており、2019年も増加が見込まれている。

 核酸(DNA)は、特にサケの白子には多く含まれる成分。サケ白子の核タンパクからは、核酸のほか、塩基性タンパク質(プロタミン)、ポリアミンなどの機能性成分が抽出され、健食・化粧品用途で利用されている。エイジングケアや美容を目的としたベースサプリメントへの配合に加え、筋肉維持や抗疲労、持久力の向上などを訴求し、スポーツニュートリション分野での活用も見られる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞第1682号(2019.12.18)で
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