【インタビュー】検体測定室連携協議会 執行委員長 矢作直也氏

 「検体測定室」とは、自己穿刺により採取したわずかな血液をもとに、糖尿病や脂質異常症、肝機能異常といった生活習慣病に関係のある項目を検査できるスペース。その普及拡大を担う検体測定室連携協議会執行委員長の矢作直也先生に現状と今後について話を聞いた。

 2014年3月、厚労省より臨床検査技師法に基づく告示の改正が公布され、「検体測定室」が新たに認められたことを受け、2015年5月に当協議会が発足し、同年9月に全国の検体測定室の場所を案内するサイト『ゆびさきセルフ測定室ナビ』をオープンした。現在、全国の検体測定室の運営件数は1,744件(10月31日現在)と着実に拡大している。

 一方で、普及拡大の課題は「検体測定室」の知名度が未だ低い点。医師会、薬剤師会の見解は、“健診率の向上に繋がるのか”“日常の場に検査を認知させられるのか”など様々。初期費用やランニングコストも安くはないため、従来業務に加えて新たな取り組みを行うことに対する不安が多い。

 国内で激増した糖尿病を例に挙げると、糖尿病の予防には、血液検査を受け、異常値が出た場合に医療機関を受診し、正しい対策を行うことが不可欠。しかし、定期的に医療機関を受診している人は半数にも満たない。最新の医療技術である指先採血による測定が広がることで、血液検査へのハードルを下げ、未治療・未発見の糖尿病や糖尿病予備群の人々をすくい上げることに繋がる。「地域におけるチーム医療」という新たなコンセプトの下、医療機関と薬局の連携を効率化していくことが重要だ。

 セルフメディケーション時代の到来とともに、便利な検査・測定器が数多く流通する中、そうした技術の進歩を享受することで、医師は診療時間の短縮や、業務効率化だけでなく、患者を含む地域住民が皆、健康に近付けるよう、新たな選択肢を提供できる。薬剤師も、地域住民にコミュニケーションスキルを発揮する新たな活躍の場が期待できる。自治体やフィットネス&スポーツクラブ、美容サロンなどと連携するケースもあり、集客面でもメリットがあると考える。


詳しくは健康産業新聞第1682号(2019.12.18)で
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