特集【アガリクス・ヒメマツタケ】 イミューンヘルスへの関心高く、脚光ふたたび

 厚生労働省がん研究助成金研究班が2012年に作成した「がんの補完代替医療ハンドブック第3版」では、アガリクスのヒト臨床試験に触れ、「アガリクス摂取群においてNK細胞を活性化する効果、抗がん剤の副作用(食欲不振、脱毛、全身脱力感など)を軽減する効果について有効性が認められています」と記載するなど、アガリクスの有効性の高さについて言及している。

 アガリクスのメインユーザーは、がんなどの疾病者が多くを占めていたが、最近では健康寿命の延伸の観点から多くの消費者がセルフディフェンスを目的に利用を進めている。免疫力や自然治癒力を高めたいという機運は年々高まりつつあり、予防領域という点でもアガリクスが再び脚光を浴びている。健康意識の高まりは各国共通で、台湾をはじめ、シンガポールや中国で日本のアガリクス商品が評価され人気となっている。『仙生露』を販売するエス・エス・アイでは、以前より香港やシンガポールでの販売を進めてきたが、ここ数年売上は右肩上がりだという。『キングアガリクス100』を展開する東栄新薬では、「当社が使用するKA21株に関する研究成果は国際論文が28本あり、エビデンスが評価されている」とし、すでに展開しているベトナムを皮切りに、フィリピン、シンガポール、マレーシアなどの東南アジアをはじめ、今年に入り香港への輸出を開始するなど、海外への出荷量は急増しているという。

 ここ数年国民の一大関心事ともえるのが腸の健康。健康寿命を支える重要な臓器である腸にターゲットを絞り、アガリクス摂取による腸内フローラへの影響について考察したのがエス・エス・アイ。研究では、健常人の男女3人にアガリクス抽出液(50mL×2)を2週間摂取させ、摂取前後で腸内フローラの解析を行った。その結果、50代女性では摂取後、肥満防止に関連する菌種の比率が増加し、40代男性では、バランス調整菌が増加し、さらにバランス攪乱菌が減少したという。同社では、「菌の増加や減少は個体により異なるものの、アガリクスが腸内細菌に直接、あるいは腸内代謝産物の変化に対して影響を与えている可能性が示唆された」としており、今後症例数を増やし関連性をさらに明らかにしていくとしている。

 一方で、男女共にコンプレックスの上位に挙げられる薄毛に着目したのが東栄新薬。女性の社会進出により、日々のストレスや食生活の乱れは男性同様で、若年層でも薄毛に悩む女性が増加傾向にあるという。同社は露地栽培アガリクス・KA21株を用いた試験で、剃毛した脱毛モデルマウスに抗がん剤を5日間服用させた薬剤性脱毛モデルマウスを対象に、コントロール飼料群、ハウス栽培アガリクス3%含有飼料群、露地栽培アガリクス3%含有飼料群にわけ、発毛率を測定。その結果、露地栽培アガリクス含有飼料群は、コントロール飼料群と比較し、発毛促進効果がみられたという。同社では、「毛包の基本構造や成長の基本メカニズムは、生物の種を越えてよく類似しているため、露地栽培アガリクスはヒトや犬、猫にも発毛効果をもたらすことができると考えられる」としている。つづく

 

 

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