特集【健食製造機器】 崩壊試験義務化、試験器のニーズ高まる

 本紙が健康食品の受託加工・受託製造企業73社を対象に行ったアンケート調査(1670号既報)によると、2019年度上半期に設備投資を実施した健康食品の受託加工・受託製造企業は64%で、前年同期より5ポイント、一昨年と比べると20ポイントも増加している。設備投資の内容は「製造設備の増強」(31社)が最も多く、「品質・衛生面の補強」(14社)、「研究設備の強化」(4社)が続く。新工場を建設した企業は5社であった。「製造設備の増強」の内訳は充填包装機や打錠機、カプセル充填機、検査装置、クリーンルームの導入など様々。「生産能力の向上」や「製造ラインの一部自動化」「品質管理能力の向上」など、広範囲な目的で導入が進んでいる。

 機器メーカー各社からは、人的・時間コスト削減を図る機器や、ハイグレード機の上市がみられる。人的・時間コスト削減では、健食受託工場各社で深刻化している人手不足問題に焦点を当て、自動制御システムによる無人運転、スティック分包や段ボールの箱詰めといった一部工程を自動化する提案も。遠心分離機を取り扱う巴工業では、最大遠心力3万Gを実現した円筒遠心分離機を今年発売。分離効率の大幅な向上の他、洗浄効率も引き上げた。昨年には24時間連続無人運転が可能なディスク型遠心分離機も上市している。

 製薬業界で多くの実績を持つメーカーが健食用途に新製品を提案する動きも。パウレックでは今年、食品・健康食品向けにドイツ製の打錠機を上市。高速打錠が可能で小バッチから大規模生産タイプまで各種ラインナップしている。健康食品の主要剤型の一つであるカプセルについても、ロンザグループのカプスゲル・ジャパンでは、100~3,000カプセルまで用途、産業別にカプセル充填機を幅広くラインアップ。大ロット向けの高速充填機をはじめ、中規模向けの半自動充填機、薬局やラボ向けの手動タイプなどが好評だ。

 国民生活センターが今年8月、日本薬局方(以下局方)に基づき錠剤・カプセル状の健康食品100品の崩壊試験を実施、約4割の商品が基準に適合しなかった。崩壊試験は、有効成分が体内で吸収されることを担保するために必要な試験。日本健康・栄養食品協会は試験結果を受け、GMP認定工場に対し、これまで「推奨」だった錠剤・カプセル状等食品の崩壊試験を「義務化」すると通知。これらの剤型の製造に当たって「別途定める崩壊試験をロット毎に行わなければならない」との記述をGMPガイドラインに追記した。

 受理品目が2,300品を超えた機能性表示食品では、機能性担保のために崩壊試験が義務付けられている。異業種からの参入もあり、試験器ニーズはさらに高まることが予想される。一連の流れを受けて健食業界へのアプローチを強めているのが、製薬で実績のある試験器メーカーだ。日米欧の薬局方に適合した崩壊試験器、溶出試験器を提案する富山産業では「健食メーカーからの問い合わせが増えた。今後は積極的に健食業界に提案を進めていきたい」としている。つづく

 


詳しくは健康産業新聞第1681号(2019.12.4)で
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