特集【健康茶】 「美味」+「簡便性」+「機能」で需要喚起
日本紅茶協会によると、「紅茶ポリフェノールによるインフルエンザウイルスの感染力阻止効果がテレビなどのメディアで話題になった」とし、「これまで紅茶を飲まなかった人も飲むようになった」という。紅茶の機能性については、脂質・コレステロール吸収に及ぼす効果や、食後の血糖値上昇抑制に関する研究などが知られている。昨今では、国立感染症研究所協力研究員・中山幹男氏の「紅茶のインフルエンザウイルスに対する感染伝播阻止効果」に関する研究がメディアなどで話題に。中山氏によると、「感染力をわずか15秒で99.9%失わせる」と報告。「毎年変化するインフルエンザウイルスにも顕著な効果が認められる」としている。
紅茶輸入量4割を占める三井農林では、メディアでの報道後、「瞬間的には1.5倍の伸びをみせた」といい、インフルエンザシーズンが終わった4~5月も売上が伸びている。「1~10月の累計は6%増で推移した」と話す。この紅茶ブームは菓子メーカーやコンビニでの製品開発にも波及。調剤薬局と共同開発した紅茶キャンディーが上市されるなど、市場の裾野が拡大している。
ストレス社会と言われる現代、「疲れ」「冷え」「肌荒れ」等の悩みに寄りそう健康茶の需要が高まっている。漢方相談店舗事業を展開する薬日本堂㈱は2018年1~12月、初めて来店した4万7.864人を対象にアンケートを実施した。性別・年代別集計では40代女性(22.8%)が最も多く、続いて30代女性(20.6%)、50代女性(16.9%)と続く。健康に関する相談内容の集計では、「疲れやすい」「冷え性」「ダイエット」「不妊症」「月経トラブル」「更年期障害」「便秘」「肌あれ」といった悩みが多かった。男性では20~50代まで全ての世代で「疲れやすい」が1位に。女性の悩みはバラつきがあるのに対し、男性は「慢性的な疲れ」を感じている人が圧倒的に多いことが明らかになっている。
同社によると、「“ストレスによる自律神経の乱れ”や“病名のつかない不調”の相談が増加傾向にある」と説明。薬剤に頼らずに、「健康茶からはじめたい」という需要も年々高まっているという。「疲れやすさ」の相談には、霊芝や柑橘皮、朝鮮人参など13種の和漢素材をブレンドした『気巡茶』。「冷え」の悩みには、紅茶ベースの薔薇などの香りが感じられる『暖宮茶』。「肌トラブル」にはルイボスティーベースの柿の葉などをブレンドした『妃美茶』を紹介している。
市場には美容・ダイエットや生活習慣対策、脂肪訴求といった健康茶が流通。簡便性や機能性、味や風味にこだわった様々な商品開発が行われている。
健康茶の受託製造を行うファイナールによれば、「ルイボス」「黒大豆」「桑葉」「ゴボウ」「サラシア」の引き合いが近年目立つという。人気のキーワードは、「オーガニック」「リラックス/睡眠」「チャイナフリー」「ノンカフェイン」「色のでるお茶」「糸タグ付ティーバッグ」を挙げている。
創業50周年を迎えた日本緑茶センターは、ポンパドールブランド初のオーガニックシリーズを投入した。有機JAS認定を取得した全8種は、“睡眠前や落ち着きたいシーン”を訴求する『カーム&リラックス』『スリープ&ドリーム』などをラインアップ。同社によると、「日常生活にとりいれやすい美味しさ訴求型のオーガニックハーブティに仕上がった」としている。つづく
詳しくは健康産業新聞第1681号(2019.12.4)で
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