地域産物を活用、機能性表示が続々

 機能性表示食品制度の運用とともに各自治体による支援体制の環境整備が進み具体的な成果が出ている。長野県は11月12日、全国農業協同組合連合会が届出けたブドウとキノコ(エノキタケ)が機能性表示食品としてデビューすることを発表した。信州大学が成分分析とエビデンス作成を、県が届出書類作成と分析などを支援。ともに機能性関与成分はGABAで血圧対応の表示で受理された。

 福岡県では、福岡県バイオ産業拠点推進会議が九州大学大学院らと連携し、届出に向けた様々な支援制度を揃える。「機能性表示食品目利き調査」の利用は130件を超え、届出支援実績は14品目に。10月には同調査を通じて福栄組合の『はかた地どり(胸肉)』(機能性関与成分:アンセリン、カルノシン)が生鮮肉類では初となる機能性表示食品として受理された。認知機能サポートを訴求点に、県内での販売は一部が始まっており、来年から販売地域を広げる計画だ。

 長崎県では、長崎県農林技術開発センター、長崎県立大学、長崎大学、九州大学と共同で『ビワ混合発酵茶』を開発。同原料を用いた機能性表示食品が受理され、通販メーカーが今夏より販売を開始した。これ以外にも、温州ミカンと緑茶葉の混合茶を用いたヒト試験も終え、睡眠や肩こり、冷え、疲労感に関する有意な結果が得られており、機能性表示食品の開発を視野に入れる。

 沖縄県では、サプリメント『宮古BP(ビーピー)』(機能性関与成分:宮古ビデンス・ピローサ由来カフェー酸)に続く形で、産官学が連携し、地域産物を活用した機能性表示食品の開発に着手。琉球もろみ酢(疲労感など)や、シークヮーサー(認知機能、冷え症改善など)、モズク(便通改善など)などはヒト試験も行われており、今後の動向が注目される。

 北海道では、ラフィノースや、ライラック乳酸菌などを活用した機能性表示食品が流通する。北海道は独自の食品機能性表示制度「ヘルシーDo」を手掛けており、機能性表示食品とのW表示も可能だ。生鮮食品の総受理件数は44品目。

 受理件数が1番多いのは静岡県。生鮮食品初の機能性表示食品として有名になった『三ヶ日みかん』などの温州ミカンをはじめ9件が受理されている。静岡県では、静岡県立大学、フーズ・サイエンスセンターなどが連携し、機能性表示食品の開発や届出を支援。今年は、静岡県温室農業協同組合の『クラウンメロン』『アローマメロン』が受理された。機能性関与成分はGABAでパッケージに「一時的な精神的なストレス緩和に」と表示。今秋から出荷を開始した。

 機能性表示食品だから売れるという保証はなく、受理件数が増えるとともに、出口戦略を見据えた支援事業が今後はますます求められる。つづく

 

 


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