ZOOM UP九州素材【馬の油】 若年女性の馬油ファン増加
国内における年間のと畜頭数は約1万頭で、熊本県・福岡県の2県が半数近くを占める。馬の脂肪は、古くは火傷の民間薬として利用され、近年は「馬油」として主に化粧品分野で製品化されている。馬の脂肪酸組織はヒトの皮下脂質に近く、不飽和脂肪酸の含有量が59~65%と高く、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸をバランス良く含む。皮膚への浸透性に優れているのが特徴だ。
馬油の純度、色、においなど、日本の品質・技術力は海外からの評価も高く、2015年頃から中国人をはじめとした外国人観光客、ソーシャルバイヤーによる爆買いの対象品となり、大きな特需を生んだのは記憶に新しい。その後、中国での爆買いへの規制強化や新EC法の施行などで爆買いは鳴りを潜めたが、特需を機に国内で馬油が再注目されている。
ブームを機に、馬油100%のクリームやローションオイルに加え、美容液、化粧水、石鹸、ヘアケア商品など、馬油を配合した関連製品が一気に増加。女性雑誌やTVなどメディアで馬油製品が取り上げられる機会が増え、国内消費者の馬油に対する認知度が目覚ましく向上。これまでは中高年が中心だった購買層が、若年層にまで広がりをみせている。
特に若年女性には、馬油が逆に新鮮な素材に映ったようで、主要各社は「20~30代の若い女性の間に馬油ファンが増えている」と口を揃える。このほか、「馬油に対する抵抗感がなくなっている」「保湿作用以外の機能が広がり、購入者の年齢層が広がった」など声のほか、「乳幼児向けに購入する利用者も目立つ」といった声も聞かれた。
馬油はもともと民間薬として使用されてきただけに、使ってみれば体感は十分得られる製品力の高さ持っている。関連製品が増え、パッケージデザインや処方を含め、若い女性や、幼児を持つ母親を意識した製品などバリエーションも広がっている。馬油に関する関連書籍なども発刊されており、馬油主要メーカーでは、「国内市場は、まだまだ開拓の余地がある」とみている。つづく
詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
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