九州・健康産業 キーマンに聞く! 九州大学農学研究院・清水邦義氏
機能性表示食品を目指す企業を支援する「目利き調査事業」(福岡県バイオ産業推進協議会)に参画する九州大学農学研究院の清水邦義氏に同事業の進捗状況や注目素材などについて話を聞いた。
―― 機能性表示食品の支援事業について
福岡県での本年度の特筆すべき成果は、生鮮食品(鶏肉)の『はかた地どり(胸肉)』やサプリメント『サフランの恵み』だ。
『はかた地どり(胸肉)』の機能性関与成分はアンセリンとカルノシン。表示内容は、「アンセリン、カルノシンは加齢により衰えがちな認知機能の一部である、個人が経験した比較的新しい出来事に関する記憶をサポートする機能があることが報告されています」。機能性関与成分の研究レビューによって評価しており、1日摂取目安量は100g( 同製品の1/2の量)。
「サフラン」は、これまで機能性表示食品としての届出はなかった。「目利き調査」「目利き臨床試験」で得られた成果により、ヒト試験成果の査読付き学術論文化に成功し、「サフラン」としての届出第1号を成し遂げるに至った。特に、「意欲の維持」「不安感・困惑感の軽減」など、これまで届出実績がない新たな表示内容にもチャレンジし受理された。
―― 注目する九州発の健康素材は
九州地域には、ユニークな農林水産畜産物が多くあり、ヘルスケアの新たなジャンルとして、健康に寄与する住空間に着目している。畳はイグサを原料としているが、国内生産量の98%近くは熊本県で、残りは福岡県。九州地域で独占されている素材である。熊本県農業研究センターと九州大学との共同研究により、畳の香りによるリラクゼーション効果や睡眠の質を高める効果が立証され、畳空間の健康増進効果が明らかにされつつある。
また、九州地域はスギの産地でもあるが、住空間建材である無垢のスギ材を用いた住空間の健康増進効果(疲労回復、リラックス、睡眠の質増強、認知機能増強)についてもデータが蓄積されつつある。日本固有の天然素材を用いた健康住空間研究においても、九州地域は、全国をリードしているといってもよいだろう。つづく
詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら