別冊【九州~健康産業~】 “地域産物+健康機能”に商機

 「健食通販王国」と呼ばれる九州。九州地域全体をみるとここ数年は、機能性表示食品への取り組みが活発だ。機能性表示食品の累計受理件数が2,000品目を超える中、九州地域の機能性表示食品受理件数は250品目を超え、この1年で1.5倍以上に増えた。受理件数トップはODEM(ODM&OEM)メーカーの東洋新薬。それ以外は通販企業が多い。

 新日本製薬は、サプリメント『ロコアタックEX』が好調に推移するほか、新商品も投入した。エバーライフは、「皇潤」シリーズの機能性表示食品に加え、W表示品も拡充。やずやは、今月から『やずやの歩行能力維持サプリすこやかウォーク』の販売を開始した。各社からは、「一定の機能をはっきりと伝えられることによりお客様の安心感につながっている」「ストーリー性重視の商品と比べ、販促も大きく変わる。ノウハウの蓄積が重要になる」など様々な声が聞かれた。

 九州各県も機能性表示食品に対する支援事業を強化。県別でみると福岡県の届出件数が176件と最も多い。福岡県バイオ産業拠点推進会議(事務局:久留米リサーチ・パーク)は、いち早く届出に向けた各種支援制度を充実させた。「目利き調査事業」では、相談窓口で受け付けた機能性表示食品候補食品について、九州大学大学院農学研究院で成分・機能性等を調査し、機能性表示食品としての適性を総合的に判断する。同調査の利用は約130件で、これまで14品の届出支援実績がある。今秋には、『はかた地どり(胸肉)』が生鮮肉類では初となる機能性表示食品として受理された。佐賀県は、「さがフード&コスメラボ」を通じて届出サポート事業を展開。県内事業者の種商が機能性表示食品の販売をしているほか、新たに宮島醤油の『ミヤジマ紫黒米酢』が受理された。

 九州各県の企業・大学・研究機関等で構成する九州地域バイオクラスター推進協議会では、今年6月から各県に「食品機能性コーディネータ」を設置。「中小事業者も参画でき、九州素材を活用した機能性表示食品を開発できる環境をつくりたい。すでに県境を越えたコラボ商品の開発計画もある」としている。九州大学農学研究院・准教授で「目利き調査事業」に参画する清水邦義氏は、「今後、ユニークな九州産の機能性素材を用いた加工食品のみならず、キノコ等、生鮮食品での機能性表示事例が増加し、業界の活性化につながることを期待したい」と話す。つづく

詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
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