特集【スポーツニュートリション】市場規模600億 円 、プロテインが牽引
スポーツ庁による調査や「レジャー白書2019」からも国内のスポーツ参加人口は年々増加している。それを受け、スポーツニュートリション市場も好調に推移している。現在流通している主な素材は、プロテイン、アミノ酸、イミダゾールジペプチド、クレアチン、L-テアニン、L-カルニチン、HMBなど。加えて、アスタキサンチン、植物発酵エキス、乳酸菌など多様な素材が、スポーツサプリ向け素材として提案されている。新素材では、食薬区分改正で注目を集めたβアラニンのほか、CBDの動きも注目が集まっている。
なかでもプロテインとアミノ酸は市場全体の8割以上を占め、売上上位メーカーへの聞き取りでは、2018年のスポーツ向けアミノ酸が約260億円(前年比3%増)、スポーツプロテイン(パウダー)は約360億円(前年比20%増)となっている。アミノ酸カテゴリーでは、ゼリー商品の売れ行きが良く、味の素『アミノバイタル』、明治『VAAM』などは堅調に推移している。一方、スポーツプロテイン(パウダー)は400億円を超える勢いで、種類別では、ホエイ、カゼインといったミルク由来のシェア率が高く、それに続き大豆、エンドウ豆、ローヤルゼリー、サケ白子、パイナップル由来の製品が市場に流通している。
プロテイン市場の成長は世界でも確認されており、アメリカ乳製品輸出協会の福田久雄氏は「タンパク質含有を謳った食品・飲料の新商品発売数は、2014年~2018年にかけ、世界全体で25%に拡大しており、日本はその中でも43%増加と大きく成長している」と指摘する。本紙の調査でも、今年発売のプロテイン食品数は、11月時点で30品以上となり、2年前と比較するとその差は3倍という結果に。
最近の商品開発の動向をみると、アクティブシニアや女性を意識した商品が増加。各社の商品をみると、スポーツ向けのほか、栄養補給、美容、ダイエット、熱中症対策など多種多様な商品ラインナップとなっている。こうした背景には、前述のスポーツ庁調査にある、「アクティブシニア」と呼ばれる元気なシニア層(65歳~75歳)のスポーツ人口増加があげられる。さらに最近では、パーソナルジムや女性専用ジムの普及に伴い、女性の利用が拡大。「プロテイン女子」がトレンドになるなど、健康と美を訴求する女性層にプロテインが支持されている。
実施合、本紙の取材で大手メーカー担当者は、「数年前よりは健康や美容を目的にプロテインを摂取する消費者が増えつつある」と指摘。立命館大学教授の藤田聡氏も「健康増進としてのタンパク源の活用や、ロコモやサルコペニア予防として、シニア層への提案を推進していくことが必要」だと述べている。今後メーカーにとって、アスリートだけでなく、アクティブシニア、女性に向けた商品提案が鍵となりそうだ。
一方、アスリート向け商品では、アンチ・ドーピング認証を取得する動きが加速。英国LGC社が運営するアンチドーピング認証「インフォームド・チョイス」の認定数は30品件を超えており、最終製品に加え、原材料や工場まで認証の幅を広げている。アンチドーピング認証の普及により、アスリートが安心してサプリメントを利用できる環境が整えば、市場はさらに拡大することが見込まれる。つづく
詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
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