特集【プラセンタ】 サプリは価格帯で二極化、コスメ需要拡大

 プラセンタサプリの市場規模は、末端ベースで230億円と推計され、昨年より若干の減少傾向にあるが、本紙が今年6月に実施した健食受託企業へのアンケート調査では、乳酸菌、プロテイン、コラーゲンに続く人気受注素材として名前が挙がり、定番素材として根強い人気が伺える。また化粧品分野では、原液化粧品が好調なほか、美容液、化粧水、保湿クリーム、石鹸、シャンプーなどに配合が進んでおり、国内に加え、中国や東南アジア諸国などからの引合いも増えている。

 DgSや通販ルートでのサプリメントは1,000円前後の大手PB品の動きが良い反面、2~3,000円代の商品は棚落ちも多く価格の二極化が進む。クリニック・サロンルートでは堅調に推移。また最近はプラセンタをメインとしたサプリは減少傾向にあり、コラーゲン、高麗人参、エラスチンなどとの複合品の比重が増している傾向が見られる。

 業界大手の銀座ステファニー化粧品では、主力のサプリメント『プラセンタ100』の2019年度の出荷数が26万箱前後と予測。昨年、一昨年と横ばいで推移している。同社では、サプリへのプラセンタ配合量を増やし、2~3万円を超えるようなセレブ向け商品をメインに、QVC、直販チャネルで展開。「市場全体として高価格帯か低価格帯に特化した商品の動きが良く、中間価格帯品は苦戦しているように感じている」とコメント。今後は「海外展開も含めコスメ分野が伸びると考えている」としている。

 協和では今年9月、『プラセンタつぶ』『―ブライト』の売上累計が1,411万袋を突破。11月25日より大豆イソフラボン、高麗人参エキスを配合した『和漢プラセンタイソフラボン』を上市する。サプリ全体の売上は、昨年からほぼ横ばいだが、商品幅を広げることで新規需要の獲得を目指す。スキンケア関連では、『プラセンタエキス原液』が堅調。肌保湿、抗シワに関するエビデンスを拡充し、来年はアジア圏など海外展開も視野に入れている。

 現在市場にはブタ、ウマなど動物の胎盤を原料とするプラセンタエキスと、サケの卵巣膜由来のプラセンタ様成分が流通している。プラセンタエキスの抽出法は、酵素分解法が主流で、高圧抽出や同手法を組み合わせたケースのほか、工業化された膜技術を用いた手法なども用いられている。エキスの品質に大きく影響する採取後の胎盤の鮮度や洗浄、部位の選別といった前処理にこだわる企業も多い。

 動物の胎盤から抽出したプラセンタエキスは、満期出産時に後産として得られる食用の胎盤から抽出するケースと、と殺後の胎盤から抽出するケースに分かれるが、動物愛護の観点から前者が好まれる傾向が強い。出産数が多く比較的低コストなブタ由来のものが主流だが、近年イメージの良さからサラブレッド由来の馬プラセンタエキスの流通量も拡大しており、国産品では、SPF(Specific Pathogen Free)豚、競走馬用サラブレッドなど品質管理や衛生管理が徹底され、トレーサビリティーが厳格な原料が数多く見受けられる。

 一方、海外品は価格面のメリットから新規採用件数が増えており、市場占有率は高い。ブタはドイツ、イタリア、デンマークなどヨーロッパ産、ウマは南米産、モンゴル産などが流通する。世界的な環境保護の気運の高まりから、サケの卵巣膜由来のプラセンタ様成分の利用も進む。プラセンタ食品の品質規格基準(JHFA規格基準)には適合しないものの、プラセンタと同様のエビデンスが構築されており、動物原料を嫌うメーカーでも配合しやすい点から国内外の大手ブランドで採用が進んでいる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら