9月の健食支出16%増、DgSは健食売上17%増

■増税で駆け込み需要、反動減に懸念

 11月8日に発表された各家庭の支出動向を調べる総務省の「家計調査」では、2人以上世帯の9月の消費支出は1世帯あたり30万609円で、前年同月比は、調査方法の変更を考慮した変動調整値で実質9.5%増。増税前の駆け込みで大幅な支出増となった。家電製品を中心に、「ファンデーション」(84.6%増)、「化粧水」(45.7%増)などが伸びた。医薬品の「栄養剤」も53.4%増となった。クロレラやローヤルゼリーなどサプリメント剤型を中心とした「健康保持用摂取品」の9月の支出額は、1世帯あたり1,341円で、前年同月比は、変動調整値で15.7%増となった。軽減税率制度の対象である健食が9月に急増した理由について、統計局では「不明」としているが、前回14年4月の消費増税時も駆け込み需要は発生した。14年3月の健食支出は名目で前年同月比11.9%増と急伸。翌4月に同15.4%減、5月に同21.2%減と反動減があった。

 また(公社)日本通信販売協会が11月1日に発表した2019年9月度の通信販売売上高調査では、協会の理事社・監事社を中心とする138社の総売上高は1,235億2,200万円で、前年同月比17.4%増。8月の4 %増と比べて大きく伸びた。「通信教育・サービス」が伸び悩んだほかは全てプラスだった。「その他」を除き、伸び率が最も高かったのは「化粧品」で、同43.6%増の164億円。通販協によると、「高価なものほど駆け込み需要があった」という。健康食品の通販売上高は133億5,600万円で、同9.7%増。前回駆け込み需要のあった14年3月の16.3%増に次ぐ伸び率となった。なお前回増税時は反動減があり、14年4月の健食通販売上高は16.2%減となり、その後12ヵ月連続のマイナスとなった。

 経済産業省が10月30日に発表した「商業動態統計」速報値では、9月のDgS全体の販売額は前年同期比21.8%増の6,265億円。14年1月以降の調査で初めて6,000億円を超えた。増税前の駆け込み需要が加わり履物や文具など「その他」を除く全カテゴリーが2ケタ増となり、比較が可能な15年1月以降で最大の伸び率となった。伸び率が最も高かったのは「ビューティケア(化粧品・小物)」で、同31.1%増の994億円。サプリメント、ダイエット食品、青汁など「健康食品」の9月の販売額は211億円で、同17.2%増。熱中症対策飲料が好調だった昨年7月の206億円を超えて過去最高となった。健康食品の急伸の要因について、DgSからは「まとめ買いに付随しての購入があった可能性もある」との声も。

 今回の増税で健康食品は税率を8%に据え置く軽減税率制度の対象となっているが、各流通では9月の健康食品の売上が伸長、駆け込み需要とおぼしき動きも見られており、反動も含め、10月以降の動向が注目される。つづく

 


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