特集【モリンガ】 初の機能性表示食品も

 インドやフィリピン、タイなどの東南アジア、中国、アフリカ諸国、日本などで栽培されているモリンガ。葉、茎、花、実、種、根まで余すことなく利用できることから、“ミラクルツリー”とも呼ばれている。モリンガの「葉」は90種以上の豊富な栄養素を含み、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸のほか、ポリフェノールをはじめとする46種類以上の抗酸化物質を含有している。

 モリンガの葉にはミネネラル成分の「カルシウム」「カリウム」「鉄」の含有量が特に多いことが論文などで報告されている。カルシウムは牛乳の20倍。カリウムはトマトの6倍。鉄は牛レバーの4倍に相当する。マグネシウムはホウレン草の5倍。食物繊維は水溶性と不溶性の両方含み、腸内環境を整える働きが期待できる。ビタミンAはモリンガ粉末100gあたり651μg、ビタミンB1は、0.33mg含有する。国民健康・栄養調査報告書(平成29年度)と日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、日本人に不足している栄養素は「カルシウム」「カリウム」「マグネシウム」「食物繊維」「ビタミンA」「ビタミンB1」など。モリンガには日本人が不足しがちな栄養成分も豊富に含まれている。

 モリンガの魅力は豊富な栄養成分だけにとどまらない。機能性研究では、「血糖値上昇抑制」「コレステロールの低下」「アレルギー症状の緩和」「節炎の抑制」「抗菌作用」「育毛作用」「肥満防止」などの成果が報告されている。こうした中、機能性表示食品制度において新たな展開が。天草モリンガファームが7月、モリンガ初となる機能性表示食品『モリンガGABA』(届出番号:E246)を届出受理。機能性の評価方法は研究レビューで実施した。モリンガ由来のGABAを機能性関与成分に「ストレス緩和」と「血圧」対応を訴求。通販メインで10月末から販売している。

 末端製品ではサプリメントや青汁といったアイテムが定番商品として浸透。ロート製薬や日清食品など、大手参入により市場形成が本格化している。近年ではケーキやラーメン、そば、菓子類、酎ハイなど、一般加工食品への商品化も広がっている。今年9月には国内初のモリンガジュース『モリンガリキッド』も登場。リンゴ濃縮果汁にモリンガを1g配合、ドリンクのほか菓子の材料としても活用できるという。

 中食・外食市場では、ベーグルやイングリッシュマフィンの商品化も。東京・新高円寺にあるパン工房「ジージョベーカリー」では11月、モリンガ粉末入りベーグルとイングリッシュマフィンを発売する。「ベーグル120gあたりに1.5gのモリンガを配合し、抹茶を感じさせる味わいに仕上げた」という。プロテインスムージー専門店・筋肉飲料は9月、モリンガパウダー入りプロテイン飲料『グリーンモンスター』を上市。鉄分やビタミンC、葉酸が豊富に含まれており「運動などで貧血になりやすい人に飲んでほしい」としている。つづく

 

詳しくは健康産業新聞第1679号(2019.11.6)で
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