特集【通販・ECサポートソリューション】 深刻化する通販・EC市場のコスト高

 通販・EC市場が拡大している。日本通信販売協会(JADMA)が今年8月に発表した「2018年度通販市場売上高調査」によると、2018年度の通信販売市場は8兆1,800万円(前年比8.3%増)で、金額ベースでは前年に比べて6,300億円の増加となった。1998年度以来、20年連続の増加傾向で、10年前と比較して市場規模は倍増している。

 経済産業省が今年5月に発表した「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」でも、物販系分野のBtoC-EC市場は9兆2992億円(前年比8.12%増)と報告。なかでも健康食品市場は「健康食品のメインユーザーである高齢者が、テレビ通販やカタログ通販等から徐々にECでの購入に移行している」と分析、「今後も市場拡大が予想される」と報告している。

 通販市場の拡大に併せて、通販事業に必要な業務のサポートを全て含めた通販総合支援サービスの提案も進む。ジェイエスフィットは、コールセンターやロジスティクス、業務代行を含む通販事業の総合サービスをワンストップで提供する統合型通販パッケージ『C.Next®』シリーズを提案。基幹システム、ネット通販システム、分析システムをラインナップし、健食事業者からの引き合いも増えているという。

 エルテックスは、ECを含むオムニチャネルの通販業務全般をサポートするEC/通販統合パッケージ『eltexDC(エルテックスダイレクトコマース)』を提案。通販とECで異なったシステムを利用している事業者のシステムを統合し、業務と顧客情報を全て一元管理することで、通販・ECの業務をすべてカバーできるという。

 通販に欠かせない物流分野では市場拡大に伴う業務内容の煩雑化や、人手不足、再配達率の悪化などにより、コスト増が深刻な問題となっている。物流業界からは荷主のコストカットを図り、独自のシェアリングサービスを開始する動きも。佐川グローバルロジスティクスでは、今年9月よりリピート通販向け新サービス『TAOPack』をスタート。ロジスティクスサービスとシェアリングサービスを結合し、入荷、保管、加工、ピッキング、検品、梱包、出荷などの倉庫内サービスと、スペース、自動化機器、システム、人材をシェアする。

 また通販市場では、急速に浸透しているキャッシュレスサービスの影響も。日本のキャッシュレス決済比率を見ると、2008年の11.9%から2017年には21.3%となり、年平均で6.7%成長している。政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にする目標を掲げており、今後キャッシュレス化はさらに進むと考えられる。

 市場にはPay Pay、LINE Pay、Rakuten Pay、Amazon Pay、PayPalといった様々な決済サービスがある。なかでもAmazon Payは、最短2クリックでの注文が可能。月額定期サービスにも対応しており、リピート通販との相性が良く、健康食品や化粧品領域での採用が増えている。10月にはプログラムがゲスト購入者の状況を検知して、より簡単な購入オプションであるAmazon Payに誘導、カゴ落ちを防ぐ『WEB接客型Amazon Pay』をリリースした。

 2020年1月28~29日には、東京ビックサイトで「イーコマースフェア東京2020」「オムニチャネルソリューションフェア2020」(主催:UBMジャパン㈱)が開催され、ジェイエスフィット、エルテックス、アマゾンジャパンなどが出展する。また11月13~14日には、池袋サンシャインシティ・文化会館で「第20回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2019in東京」(主催:UBMジャパン㈱)も開催される。つづく

 


詳しくは健康産業新聞第1679号(2019.11.6)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら