特集【抗糖化】 機能性表示、糖化テーマで初の受理も
今年5月、日本新薬が届出した『MANGOSTIA(マンゴスティア)』(届出番号E1)が機能性表示として受理された。機能性関与成分は「ロダンテノンB」で「糖化ストレスを軽減することにより肌の潤いを保持する機能があります(抜粋)」と表示した。糖化を表示内容に盛り込んだ機能性表示食品としては初となり、注目を集めた。機能性に関する科学的根拠では、ロダンテノンBが血中の最終糖化産物AGEsの一つであるペントシジン濃度を下げるとしており、AGEsの生成抑制が肌の水分保持に寄与しているとしている。
これまで抗糖化については、糖化の概念の複雑さや、糖化ストレス対策の多様化など、消費者にとってわかりづらさがあると指摘されることが少なくなかったが、今回の機能性表示の受理を機に「消費者に改めて認知、理解して頂るのでは」と業界からも期待が寄せられている。
抗糖化マーケットについて同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センターチェア・プロフェッサー教授八木雅之氏は、「糖化ストレス対策が健康美容対策の常識になりつつある。米飯よりも野菜を先に食べる食事法は2010年に論文発表された食後高血糖(グルコーススパイク)抑制方法で、ベジタブルファーストとして定着した。プレーンヨーグルトを先に食べるヨーグルトファーストなども同様の作用があり、わかりやすいキャッチフレーズは抗糖化の普及に貢献している」と指摘する。
今年8月には「第18回糖化ストレス研究会講演会」が京都の同志社大学で開催され、関係者約110人が参加するなど糖化ストレスへの関心の高さがうかがえた。同研究会理事長で、同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター教授の米井嘉一氏は、「糖化ストレスに関する研究については国内のみならず、海外からのアクセスが多い」と説明。科学技術情報のプラットフォーム「J-STAGE」には、中国やロシア、アメリカ、イギリス、オランダ、クロアチアなどからアクセスがあることを紹介した。
講演では、同大学の八木雅之氏が、AGEsの前駆体となる3-DGや、メチルグリ
オキサールなどの血中アルデヒドの上昇が細胞機能に障害を及ぼすと指摘した。また食後高血糖についても言及。炭水化物の摂取を控える傾向については、「ヒトにとって炭水化物は重要な栄養成分であり、不足しがちな食物繊維の補給になる。食後高血糖に着目した糖化ストレス対策は、摂取する炭水化物の質や量を見直すこともさることながら、食事の食べ方が重要である」と指摘した。
東海大学農学部バイオサイエンス学科教授の永井竜児氏は、「コラーゲン中にはAGEsの一つCMAの量が圧倒的に多いことを確認した」とし、「骨の50%はタンパク質(コラーゲン)で出来ており、CMAなどをターゲットにした糖化対策は、骨粗鬆症や骨折を防ぐ点でも重要」と説明した。つづく
詳しくは健康産業新聞第1679号(2019.11.6)で
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