【話題追跡】 DNSサプリから禁止指定成分が検出、製造工場の審査基準に疑問?

 ドームは、9月末、読売巨人軍に提供中のサプリメント『アイアンSP(スーパープレミアム)』から、世界反ドーピング機関(WADA)が指定する3種類の禁止薬物成分が検出されたと発表した。同品は、鉄分、銅、CoQ10、ビタミンを配合したサプリメントで、検出された成分は、DHEAなど3成分。今年6月の発売後、反ドーピング認証「インフォームドチョイス」を取得する工程で判明した。

 同社では、製品の回収、アスリートへの注意喚起を行い、混入経緯について調査を進めている。同社執行役員の青柳清治氏は、「認証を取得する過程で判明した。かなり頻繁に発生していることが懸念される。認証を取得する重要性が浮き彫りとなった」とコメント。インフォームドチョイスの検査レベル、分析精度の高さを強調した。

 一方で、「アスリート向けに提供する新商品を上市する際、前もって禁止薬物成分に関する分析を行うべきでは?」(大手プロテインメーカー)、「ブランド全体で認証を取得しないと誤認するアスリートも多いのでは?」(スポーツフ
ァーマシスト)、「万一を考えてサプリは摂取したくない」(現役アスリート)という声も聞かれる。『アイアンSP』は、日健栄協GMPおよび米国cGMP認証を取得した国内工場で製造されており、スポーツサプリメントの製造施設審査の基準への疑問も残る。

 日本反ドーピング機関(JADA)は、「cGMPに相当するスポーツサプリメントに適したGMPを基準とし、認証を取得し維持する」を推奨しているが、日本健康食品規格協会の池田秀子理事長は、「製造工場のcGMPの認証工程において、同一性が担保されず、試験能力が欠如していた可能性がある。DHEAは医薬品成分
に該当し、薬機法にも抵触するため反ドーピングの枠に留まらない問題と考えている」とし、「微量であるから健康被害の可能性が少ないという問題ではなく、本来入ってはいけない成分がコンタミした原因について徹底的に検証する必要がある。詳細なデータが出れば、混入経緯と共に公表する予定だ」と述べた。

 東京オリンピックを目前に控える中、盛り上がるスポーツニュートリション市場。各メーカーのアンチドーピングに対する姿勢に、より一層注目が集まっている。つづく

 

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