特集【四国】 多彩な素材のエビデンス構築進む

 四国地方は、太平洋と瀬戸内海に挟まれ、豊かな自然環境に恵まれ、農作物の栽培や海洋品の生産が盛んな地域だ。香川県では、オリーブ、希少糖、塩の
生産が盛んに行われている。

 県北に位置する小豆島では、年間360tを超えるオリーブが生産され、全国シェアの9割以上を占めている。現在は、一般食品やコスメへの利用率が高いが、オリーブの実や葉に含まれるポリフェノールに関する研究も進展しており、健康食品向けの原料供給も見込まれている。

 今年4月には、県内企業が「血中LDLコレステロールの酸化抑制作用」を訴求したオリーブオイル初の機能性表示食品を上市。9月30日には、県内事業者が集結し、「第1回瀬戸内オリーブ研究会」も開催され、農業生産工程管理認証や各種機能性研究データの発表などが行われた。

 また産学官で研究が進む「希少糖」は、砂糖よりも摂取後の血糖上昇が緩や
かな低GI甘味料であり、今年8月には、松谷化学工業の『レアシュガースウィート』が機能性表示食品として受理された。同品は、高松市のふるさと納税返礼品にも認定されている。同じく高松市に所在し、健食キノコメーカーとして全国的な知名度を誇るチハヤでも今年5月、希少糖と霊芝子実体をエキス抽出により高濃度化した『希少糖霊芝顆粒』を上市。先日の「食品開発展」でも好評を得た。

 高知県は、日本有数のショウガの生産地であり、室戸の海洋深層水などが知られている。ショウガは、冷え対策の定番素材として優れた体感性を誇り、健康食品、飲料、一般食品に至るまで幅広く利用が進んでおり、国内トップクラスのショウガ生産量を誇る坂田信夫商店やあさのでは年々供給が拡大している。

 また市場が縮小傾向にあった海洋深層水にも追い風が吹く。室戸市は、9月11日、商品やサービスに「室戸海洋深層水使用」と表示・告知するライセンスの取得を簡素化すると発表。規制緩和を受けて、飲食店や農業向けの利用が拡大すると見られており、既に高知県内の和食店、スパ施設などで採用が進んでいる。

 温州みかんやレモンの栽培が盛んで柑橘類の収穫量日本一を誇る愛媛県や、塩田を出発点としたミネラル素材や、スダチの国内生産率98%を誇る徳島県でも、メーカーと国立大学が連携し、βクリプトキサンチン、スダチチンなど機能性成分への研究が進む。食品や化粧品への利用が活発化しており、機能性表示食品としての受理も見受けられる。

 また2017年よりスタートした「四国健康支援食品制度」(ヘルシーフォー)については4品が受理されている。同制度は、四国独自の食品の安全性、機能性に関する民間認証制度として、低コストかつ短期間で製品の高付加価値化を図ることをコンセプトとしているが、制度自体の認知度が低く昨年から利用が進んでいないのが現状だ。

 先日の「食品開発展」では制度を運営する四国産業・技術振興センターがセミナーを実施。「ヘルシーフォー認証食品は、ヒト介入試験を基に有用性や安全性を担保しており、四国産品を利用していれば県外事業者でも利用できる制度だ」とし、「機能性表示食品やトクホのようなハードルの高い制度を目指す上で、まずは足掛かりとして本制度を活用してほしい」と呼びかけた。つづく

詳しくは健康産業新聞第1678号(2019.10.16)で
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