特集【納豆由来・機能性素材】 「ナットウキナーゼ」、国内外で注目高まる

 納豆は、安価で栄養価が高い伝統的な発酵食品として、広く国民に親しまれてきた。近年は、納豆に含まれるナットウキナーゼ、ビタミンK2(メナキノン- 7)、納豆菌など有用成分に関する研究が進み、納豆独特の臭いを取り除いたサプリメントが広く流通している。また海外での利用も拡大しており、特に中国や東南アジア諸国で納豆サプリメントの利用が活発化。日本の伝統的な発酵食品として人気を獲得している。

 市場を牽引するのは、血流改善の機能性素材として定番化している「ナットウキナーゼ」だ。国内では小林製薬、オリヒロ、アサヒグループ食品、ヤクルトヘルスフーズ、ファンケル、ディーエイチシーなど大手メーカーで採用されている。各社、大きな売上の伸長は見られないものの定番商品として堅調を維持している。

 近年はナットウキナーゼ単体のサプリメントに加えて、DHA・EPA、CoQ10、ケルセチン、フコイダンなど他素材と組み合わせたハイブリッド製品が数多く見受けられる。

 現在、国内で流通するナットウキナーゼサプリの多くは、血栓の主成分となるタンパク質(ファブリン)の分解ユニット値「FU値」を2,000~4,000の間で規格化されている。血液凝固を促進するビタミンK2を除去し、血栓症患者などに処
方される血液を固まりにくくする医薬品成分(ワルファリン)との併用することができる点が特徴だ。

 定期調査では、ナットウキナーゼの消費者認知度は8割近く。「ナットウキナーゼ=血液サラサラ」のイメージが、広く消費者へ浸透していることが伺える。

 機能性表示食品の受理に向けた動きも見受けられる。国内トップサプライヤーの日本生物.科学研究所では、従来の研究データをもとに、機能性表示食品の届出を進めており、受理されれば、「“血流”“血圧”といったワードを含んだ機能性表示が期待できる」としている。

 また最近では、「首や肩痛の改善作用」「血中内の遊離β-アミロイドの正常化効果」「睡眠質の改善効果」「美肌作用」に関する臨床研究も進められており、女性サポート、脳機能改善、内外美容といった、新たな切り口でのアプローチも進んでおり、今後の製品化が期待されている。

 ビタミンK2は、骨粗しょう症の予防・治療剤としても使われており、カルシウムの骨への沈着を促す栄養素だ。血液の凝固作用があり、栄養機能食品の成分としては「ビタミンKは正常な血液凝固能を維持する栄養素です」と表記される。抗ロコモ、アクティブシニア、スポーツ愛好家に向けたサプリメントへの利用が進んでいる。

 J-オイルミルズでは、効率的な骨づくりを推進することを目的に、医学、栄養学の有識者らで構成された組織「コツコツ骨ラボ」の活動を通して、ビタミンK2と骨づくりの啓発を進めている。

 納豆菌は、枯草菌に分類される非病原性の細菌。納豆菌が栄養学的、生理学的に優れた作用があることは、古くから知られており、免疫賦活作用など免疫学領域からの研究が盛んに行われてきた。最近では、腸内フローラ、便通、肌質の改善作用、免疫賦活作用に関する研究が進められており、「菌活」をテーマに乳酸菌、ビフィズス菌、酵母菌などを組み合わせたサプリメント、タブレット製品が流通している。つづく

詳しくは健康産業新聞第1678号(2019.10.16)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら