特集【慢性炎症対策】 ショウガやオメガ3などにスポット

 慢性炎症とは、内臓などで炎症が起き、緩やかに且つ長期間にわたってくすぶり続けることを指す。このくすぶりが白血球や各臓器の実質細胞に悪影響を及ぼし、各臓器の機能障害を招くと考えられている。例えば、肥満により脂肪組織に慢性炎症が起こると、TNF-αのような炎症性サイトカインが産生されるとともに、脂肪細胞から血液中に分泌されるアディポネクチンの量が減少し、炎症性サイトカインがさらに産生されるようになる。細胞の肥満化により発生した慢性炎症が、各臓器へ相互に反応、連関して機能が悪くなると考えられており、メタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病、がんなどを発症、進行させるのだという。

 しかし、臨床の観点では慢性炎症の診断は難しく、そのメカニズムもまだまだ曖昧な点が多い。一般的に炎症というと、外傷や感染などによって起こる急性炎症にみられる、発赤(赤くなる)、発熱(熱が出る)、腫脹(腫れが出る)、疼痛(痛みが出る)という、いわゆる四徴と呼ばれる症状が特徴的だが、慢性炎症では必ずしもこれらの四徴は見られない。炎症の発覚が遅れる傾向にあり、気付いた時には病態が進行しているケースも多い。こうしたことから慢性炎症は“サイレントキラー”とも呼ばれている。

 こうした慢性炎症の対策の重要性を受け、原料メーカー各社では抗炎症素材の提案を積極化している。日本水産では、スポーツなど運動後に起きる血中の炎症関連物質について検証しており、魚油由来のEPAの摂取により血中の炎症関連物質が減少することを確認。筋肉細胞の損傷関連物質についても発生量が抑えられることから、スポーツシーンへの展開も推進している。

 抗炎症素材を数多くラインアップするオリザ油化は、赤ショウガエキスや桜の花エキス、ジュンサイエキスなどを提案している。慢性炎症にいち早く着目し素材開発を行ってきたのがアークレイからだサポート研究所。抗炎症作用を有する日本古来の柑橘素材を複数ライアンアップする。国産温州みかんからβ-クリプトキサンチンを濃縮したペースト状原料『クリプトベータ』、シークヮサー果皮含水エタノール抽出物『ビレチン』の提案を強化している。

 アミノアップでは、菌糸体培養抽出物『AHCC』や、ライチ果実由来の低分子ポリフェノール『オリゴノール』の抗炎症作用をアピール。大学陸上選手を対象にした試験では、オリゴノールの摂取により、炎症マーカーが抑制され、疲労感のアンケート調査でも疲労感の軽減が見られたことも確認している。乳酸菌の抗炎症作用にいち早く注目したブロマ研究所でも抗炎症に関するデータを積極的にアピールするなど、他社と差別化した提案を進めている。つづく

 


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