特集【雑穀】 「味」+「機能性」で需要拡大

 健康志向の高まりとともに雑穀の需要が拡大している。雑誌やレシピサイトなどで雑穀料理が紹介され、これまで主流だった炊飯用途のほか、茹でてサラダにふりかけたり、スープの具にしたりと様々な“食べ方”が提案されている。

 スーパーやコンビニの総菜・おにぎりコーナーではバラエティに富んだ商品が並び、消費者の認知度も飛躍的に向上。従来のメインユーザーである家庭で炊飯する高齢者層のほか、若年層の取り込みにもつながった。

 雑穀初の機能性表示食品も届出受理され、さらなる市場活性化に期待が高まっている。国産雑穀を主原料に展開する種商は、GABAを機能性関与成分とする機能性表示食品『血圧サポートGABA国産十六穀米』を上市。8月には新たに『リラックスGABA国産十六穀米』も投入した。さらなる市場拡大へ向け、業界や消費者への普及・啓蒙活動は必要不可欠だ。

 つぶつぶでは全国100ヵ所にせまる勢いで雑穀料理の魅力を伝えるセミナーや料理教室を開催。代表の大谷ゆみ子氏は、理念を書籍にまとめ誰でも実践しやすい雑穀をメインとした食生活を提案している。5月には新たに、「ジャパンズビーガンつぶつぶ」を設立。年4回発行の情報誌を通じて様々な情報を発信していく。

 ラインアップ拡充で新需要創出へ雑穀市場を押し上げた要因のひとつに、もち麦市場の拡大が挙げられる。テレビ放映による反響も大きく、もち麦に関する健康効果が1月に紹介されると再び売上が増加。現在でもその人気は衰えず、もち麦配合の様々な商品が新たに上市されている。

 精麦最大手の㈱はくばくは9月、「たこ焼き粉」「うどん」のほか、「冷凍用もち麦」も新たに上市するなど、新規ユーザー獲得に向けた取り組みを加速させている。創業120年以上の歴史をもつたいまつ食品㈱では、国産もち麦使用の「おかゆ」を新たに投入した。もち麦関連商品は店頭での定番化も進み、ブームから定着のフェーズに移行しはじめている。

 一般食品への雑穀の採用が進むなか、大麦やオーツ麦といった穀類を原料とするグラノーラも雑穀市場を底上げ。「おいしい、手軽、健康」というキーワードから、健康を意識する女性層や忙しい主婦層を中心に支持されている。日本スナック・シリアルフーズ協会によれば、2018年のシリアル市場は551億円で、そのうち、グラノーラが379億円と、コーンフレークや玄米フレーク、ブランなどのシリアル商材と比べて圧倒的な売り上げ規模となっている。

 業務用では粉体・パフ・焙煎といった加工技術が向上したことから、食品
メーカーにとって雑穀は採用しやすい素材に。製菓や製パン、製麺への配合が進んでいる。取材先からは、「(既存メーカーから)新たなジャンルで雑穀を検討したいとの問い合わせもある」との声も聞かれ、雑穀を組み入れた新商品開発の動きは今後も加速しそうだ。つづく

 

詳しくは健康産業新聞第1675号(2019.9.4)で
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