特集【エイジングケア】 ニーズ沸騰!サプリ、コスメ拡大続く

 本紙が今年6月、健康食品受託メーカーを対象に実施したアンケート調査によると、人気のある商品カテゴリーのトップは「美容・美肌」。昨年、一昨年と変わらず1位をキープした。さらに「ダイエット」が続き、「ロコモ対策(関節・骨・筋力)」が5位、「脳機能改善」が8位にランクイン。加齢によるリスクを軽減する目的のサプリメントは、安定した需要を獲得していることが伺えた。

 総務省統計局によると、日本の総人口は1億2,622万人(前年同月比0.24%減)。そのうち65歳以上の高齢者人口は、3,567万5,000人(同1.09%増)となっている。男女ともに平均寿命は80歳を超えており、高齢化率は28.2%にまで達している。2010年以降、総人口は減少傾向が続いている一方で、65歳以上の高齢者人口は年々増加しており、2040年には3,921万人に達すると予測されている。

 国民の3人に1人が65歳以上となる超高齢化社会が間近に迫るなか、医療費や社会保険料は高騰し、国の財源を圧迫。健康寿命の延伸が緊急の課題となり、ロコモ、サルコペニア、フレイルなどへの対策が、介護予防を主眼とした国の施策として推進されるようになっている。

 近年の高齢者の中には、アクティブシニアと呼ばれ、体力、精神ともに若々しく、美容、健康への関心が高い人が増えている。アクティブシニアは、インターネット、SNSが普及した1990年代後半から2000年代にかけて40~50代だった人が多く、スマートフォンやタブレット端末を使ったネットショッピングにも抵抗が少ない。

 総務省発表の平成29年度「家計消費状況調査」によると、ネット通販による健康食品の購入について、50代以降から前期高齢者(65~75歳)の利用率が拡大している。60歳以上のスマートフォンの保有率は6割を超えており、手軽なデバイスが浸透したことで、自らインターネットやSNSからエイジングケアに関する情報を収集して、サプリメントや健康志向食品、化粧品を購入するケースが増えているようだ。

 また、近年の高齢者は以前と比べて運動能力が飛躍的に向上しており、ウォーキング、登山、ランニング、自転車などに汗を流し、スポーツクラブやフィットネスジムを積極的に利用する人も多い。スポーツ庁の「平成29年度体力・運動能力調査」によると、65歳以上の高齢者の体力や運動能力は過去最高を記録、調査開始から20年連続で向上している。「握力」や「上体起こし」「6分間歩行」などは、高齢者のほとんどの年代でポイントが上昇。運動する習慣も広がっており、週に1日以上運動をする人は6割を超える。スポーツ実施率の伸びは、高齢者に限った話ではないが、その他の年代と比べてみても、50代、前期高齢者(65~75歳)の伸長率はずば抜けており、アクティブシニア人口の増加が裏付けられている。

 健康食品メーカーでは、こうしたアクティブシニアをターゲットとした製品の開発に注力している。ロコモ対策素材として、定番のグルコサミン、コンドロイチンをはじめ、アスタキサンチン、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD3、ビタミンK2、エラスチン、コラーゲンペプチド、酵母類などを配合したサプリメントが流通している。またプロテイン、アミノ酸、クレアチン、HMBなど従来、スポーツニュートリション分野に活用されてきた素材が、高齢者の筋肉維持を目的としたサプリメントへ採用されるケースも増えている。

 また、内外美容をテーマとしたサプリメントの売行きも好調だ。同分野で定番素材となっているコラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、酵素などを合わせた市場規模は、末端ベース
で約1,500億円。最近、活用が増えているセラミドやエラスチン、珪素などを加えると、メジャー素材だけでも2,200億円超まで市場が拡大している(本紙集計)。

 ポーラ研究所が各年代の女性200人を対象に行なった加齢による肌の変化、エイジングケアに関する意識調査では、「実感している顔の肌の老化現象」について、「シミ」が全ての年代で1位。「エイジングケアを目的とし今後使用したい美容法」について、「スキンケア化粧品」に次いで「サプリメント・健康補助食品」があがっており、「体の外側からだけでなく、内側から綺麗になる意識」の浸透が見受けられる。

 肌の悩みは、年代に関係なく女性の永遠のテーマであり、エイジングケア市場には「美白」「抗シワ」を訴求した製品が数多く流通。なかでも近年のトレンドは内側からの「紫外線対策」や「UVケア」。『ホワイトショット』(ポーラ)、『ピュアホワイト』(資生堂)など大手企業からも「体内からのUVケア」を訴求したサプリメントが上市されている。

 機能性表示食品においても、「肌の潤いを守る」「肌の水分保持」「肌の保湿力(バリア機能)」「肌の乾燥を緩和」「肌の水分を逃がしにくくする」――など肌に関連した表示した製品が増えており、現在までに177品が受理されている(8月9日時点)。主な機能性関与成分は、ヒアルロン酸Na、グルコシルセラミド、N-アセチルグルコサミン、アスタキサンチン、乳酸菌素材など。腸内フローラと肌の相関性に関連した研究が進んだことで、今年に入り乳酸菌の受理も増加。6月には、「乳酸菌クレモリスH61株」を関与成分としたアピの『シンデレラ乳酸菌』が新たに受理されている。

 一方、エイジングケア化粧品も、好調な売れ行きだ。2018年の国内化粧品販売金額は、1兆6,941億円に到達し、過去最高を記録。外国人によるイン・アウトバウンド需要の拡大が大きな要因だが、国内のアクティブシニアに向けた高機能コスメや、植物由来素材を活用したヘア
ケア製品などの分野で内需が拡大したことも追い風となった。

 本紙が実施した化粧品受託企業へのアンケート調査では、人気受注素材としてプラセンタ、幹細胞、コラーゲン、ヒアルロン酸などがあがっている。近年の傾向としては、再生美容がトレンドとなっており、肌を自己修復再生するオートファジー機能をもった素材や、幹細胞を活
用したコスメが多く見受けられるようになった。また薬用化粧品市場では、『リンクルショットメディカルセラム』(ポーラ・オルビス)、『エリクシールシュペリエルエンリッチドリンクルクリームS』(資生堂)など、シワ改善美容液が続々と投入され、市場が活性化している。

 この他、化粧品成分の肌への吸収率を高める、肌のハリを維持・向上させるなどの目的で美顔器などの需要も高まっている。累計出荷本数1,000万本を超える『ReFa』シリーズのMTGをはじめ、ヤーマン、パナソニック、日立など大手メーカーもこぞって参入、「美容家電」というカテゴリーが生まれ、ネット通販や家電量販店で好調に売り上げている。抗酸化力で注目を集める水素関連素材もエイジングケアアイテムとして人気となっている。水素水サーバー、水素ガス吸入器、水素水発生器など関連製品のバリエーションも拡大、医療機関や治療院、フィットネス、エステサロンなどへの導入が進んでいる。つづく

詳しくは健康産業新聞第1674号(2019.8.21)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら