特集【中国産原料サプライヤーの戦略】 貿易相手国1位、漢方から話題の新素材まで

 日本の主要貿易相手国としては、輸出入共に1位が中国だ。日系企業の海外拠点数も第1位で、日本にとっては最大の貿易相手国となる。健康食品原料では、漢方で用いられるハーブやキノコ類、蜂の子、ツバメの巣、紅景天、希少素材の田七人参などをはじめ、微細藻類やビルベリーエキス、イチョウ葉エキス、日本でも高いシェアを占める素材として、アミノ酸やグルコサミン、コンドロイチン、プロテイン、ビタミン類、コラーゲンなどのほか、NMN、合成CBD、ステビアなどを世界各国へ供給している。

 

 国内では、フィトファーマ㈱や㈱サンクト、大栄トレーディング㈱、㈱シンギー、㈱フリーマンニュートラグループ、ベストグランド㈱といったサプライヤーが、日中間における「価格」と「品質」の安定、安全性管理(残留農薬・菌数などの品質検査)、国内第三位者機関での品質分析、取扱い原料の製造工場検査などを徹底し、日中の掛け橋として健食ビジネスで活躍している。日中に精通するサプライヤーに共通する点は、グローバルな需給バランスのアンテナに敏感な点だ。中国には「民以食為天(民は食を以って天と為す)」(孟子「漢書」)という諺がある。「食を第一に考えることは、国を治めることと同じ」という意味で、「食は広州(中国)にあり」といわれるほど、飲食へのこだわりと、食生活の豊かさを求める民意が根付いている。中華料理店など飲食関連でも、華僑のネットワークでグローバルにビジネス網を展開する中国は、同国同士の会談・会合などもあり、一般のメディアに頼らない強力な情報網を持つ。

 

 原料サプライヤーからは、「創業以来、安心・安全で良質の原料を安定的に供給し、日本国内の健康に寄与したいとの想いでビジネスを展開しており、後継者不足に悩む日本の老舗外食店の経営や、SNSを活用した新規事業など新たな展開にも力を入れている」「日本では製菓、食品など一般食品向けの原料採用が拡大しており、今後、健食以外の原料ラインアップの提案も強化していく」「米国では昨今、中国産よりインド産の原料が伸長しているが、インド産は魅力的な原料も多く、ラインアップに加えたい」「これまで注力してきたサプリメントだけでなく、より幅広いクライアントの要望に対応した事業展開を推進していく」など、刻々と変わる市場動向を敏感に捉えたコメントも多く聞かれる。

 

 取引先の中国進出をサポートする原料サプライヤーからは、「越境が厳しく、現状は静観しているが、中国の購買力は膨大で、コロナ収束に伴うインバウンドの復調など明るい兆しもあり期待できる。日中韓FTA再開も追い風になりそう」といった声のほか、「原料の提供だけにとどまらず、OEM受託製造事業やグループ企業との協業でアジア各国(越境EC)への製品販売支援も行うなどスピード感をもって事業規模を拡大させていく」といった声がある。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1789号(2024.6.5)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら