特集【オーツ麦】 栄養価値・機能性で訴求力強化

 コロナ禍の健康志向でオートミール市場が急成長を果たしている。市場規模は2022年に過去最高を更新、19年比で約15倍の約78億円に到達した(インテージ調べ)。2023年は前年割れ(約65億円)となったものの、今年は女優の石原さとみ氏がオートミールを使った美容法をSNSで発信したことにより需要が再燃。「オートミール配合グラノーラの出荷量が1.5倍に伸長した」とする原料サプライヤーの声も出始めている。

 

 最終製品は、調理の簡便性や美味しさ訴求の商品が好調だ。カルビー㈱の『ベイクドオーツ』は、熱調理不要でミルクやヨーグルトをかけるだけの新ジャンルのオートミール加工品。「オートミールを美味しく焼き上げる独自製法で、オーツ麦の香ばしさとザクザク食感を引き出した。オートミール特有の粘性が苦手な人などに支持され、前年越えで推移している」という。“食物繊維・鉄分たっぷり”といった栄養訴求も奏功し、「健康意識の高い40~50代女性層のリピート需要を取り込だ」としている。このほか、甘さを抑えた商品設計(カルビーフルグラ比較)で利用シーンの幅も拡大。コーンスープ、お茶漬け、鍋のシメなどのレシピ開発が進んでいる。トレンドは大容量化と少容量化に二極化。トライアルしやすい小容量と価格帯で手に取って貰う手法がみられる。このほか、近年注目を集めるバランス栄養食での配合も。オーツ麦由来の食物繊維やタンパク質で差別化を図る商品化が進んでいる。

 

 今後の市場拡大について、“飲食店でのメニュー化”がキーワードのひとつに挙がっている。某原料サプライヤーは、「雑穀の普及は、料理のプロによるメニュー化がきっかけだった」と説明。雑穀の認知度が低かった当時、「カフェやスープ専門店で考案された新メニューが、健康や美容に感度の高い女性層の需要を取り込んだ」と分析する。その後ファミリーレストランでのメニュー化に裾野が広がり、「主婦層の認知拡大および家庭内需要(スーパーマーケット需要)に繋がった」という。業務用の原料サプライヤーからは、「ファーストフードや回転寿司チェーン、ファミリーレストランの引き合いが見られ始めている」との声も。展示会(BtoB)では、オートミール使用のお好み焼きを試食で提供するアプローチが進んでいる。出展企業は、「美味しさや新規性で来場者の反響も良かった」と手応えを口にする。つづく

 

 

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