特集【注目のキノコ素材】 美肌 、脳機能、肝機能など研究活発

 古くから健康食品として活用されるキノコは、現在も新たな用途開発や機能性研究が続いている。健康食品に用いられるキノコは、エノキダケ、マイタケ、冬虫夏草、霊芝、アガリクス、タモギダケ、ハナビラタケ、ヤマブシタケ、カバノアナタケ、カワラタケ――など多種多様だ。キノコ素材は、β-グルカンを主とし、アミノ酸やビタミン類が豊富に含まれており、霊芝や冬虫夏草など、漢方薬の原料として使われているものも多い。健食業界では古くから免疫賦活作用を利用した製品が多く、アガリクスやメシマコブ、カバノアナタケなど、ブームを作ったキノコも少なくない。また、カワラタケなど新たな免疫キノコ原料も注目される。

 

 免疫賦活作用以外の機能性研究も進展。ハナビラタケの抗糖尿作用や美肌作用、ヤマブシタケの脳機能サポート作用、アガリクスの育毛作用 ――など、キノコの持つ様々な機能性に対するエビデンスの構築も進みつつある。なかでも機能性研究が活発な素材が冬虫夏草だ。中国では、コウモリガの幼虫に寄生したキノコのみを冬虫夏草としているが、国内では昆虫に寄生成長したキノコ全般を冬虫夏草として利用。寄生する昆虫によって機能性が異なる点を活かし、対象によって素材を組み合わせて提供するモノリス、カイコハナサナギタケから新規有用成分「ナトリード®」を発見し、認知機能サポートとして冬虫夏草初の機能性表示食品を受理した第一工業製薬をはじめ、コルジセピンを規格化した池田糖化工業など、大手企業も研究を進めている。

 

 霊芝は、β-グルカンをはじめとした多糖類に加え、300種類以上のトリテルペノイド類を含有し、多種多様な薬理活性を有する。これまで免疫賦活、血圧抑制、健胃、抗酸化、抗アレルギーなど、様々な研究成果が報告されている。九州大学農学研究院と連携して、機能性表示食品の届出を視野に入れている企業も見られる。また栽培・加工技術の工夫により、品質の高い日本産霊芝が、海外で高く評価され、米国では、「JAPANESE REISHI」として注目されている。

 

 キノコ素材を用いたサプリメントの販売チャネルは、薬局、MLM、宣講販などの対面販売、統合医療を実践するクリニックなどが中心。特にクリニックでは、がんの免疫療法の補助などで古くからキノコ素材が活用されている。臨床試験などを繰り返しエビデンスの充実と長い食歴を有することから医師の評価が高い。最近はペットサプリの利用が増えていることから、動物病院やペットショップなどでも活況だ。ペット向けでは、冬虫夏草、マイタケ、ハナビラタケなどを配合したサプリや、それら粉末をエサに混ぜるふりかけタイプなどが販売されている。YouTubeでキノコレシピを発信するケースも。ヘルシー志向や菌活ブームも後押しし、YouTubeチャンネルを開設し一般消費者にレシピを公開したところ、ネット通販で前年比2ケタアップになる企業も見られた。

 

 キノコ素材は昨今、米国で一大ブームとなっている。大手自動車メーカーの関連企業が、キノコ菌糸体を使った代替肉を2023年に上市。同年「ナチュラルプロダクツエキスポ」に『eat meati』の名称で代替肉を出品。次世代の製品として期待される「NEXTY AWARD賞」を受賞した。10年程前から「イミューンヘルス」分野でキノコ素材を用いたサプリメントが流通し始めていたが、新型コロナウイルスの世界的な蔓延が一気に市場拡大を後押しした。今年3月の「ナチュラルプロダクツエキスポ」でも、キノコを活用したサプリメントや健康食品が多数見られた。日本産のシイタケや霊芝もクローズアップされていた。このほか、ヤマブシタケ、冬虫夏草、カワラタケなどを原料とした製品の出品も見られた。つづく

 

 

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