特集【血流改善サポート~夏の冷え対策~】 Foods/Non-Foodsとも、市場成長続く

 「血管は人体最大の臓器」とも称され、全身に張り巡らされた血管を繋ぐと約10万km、血管を構成する内皮細胞の面積は約7,000㎡にもなると言われる。その血管を通る血液は、全身を隈なく巡り、臓器や細胞に酸素や栄養素、ホルモンなどを運ぶと同時に、二酸化炭素や老廃物、有害物質を回収する。さらに、体内に侵入してきたウイルスやカビなどの異物を排除する免疫系を司るなど、生命活動において重要な役割を果たしている。

 

 ミトコンドリアの新生や活性がトータル的なエイジングケア繋がるという観点から、最近は細胞内のエネルギー生産工場であるミトコンドリアを活性化する素材に注目が高まっている。だが、1万5,000人以上の毛細血管を計測・解析してきた、あっとの武野團社長は、「そもそもミトコンドリアを擁する全ての細胞に栄養素や酸素を届けているのは血液である。ミトコンドリア活性の前段には、正常な微小循環が求められる。血管を健康に保ち、血液を全身隈なくスムーズに流すことこそが重要」としている。同社では、産学官連携で毛細血管の本数や形状、長さ、幅、濁り等から、生活習慣病バイオマーカーとしてのリスク評価などのクラウド解析データベース構築などを進めている。既に血液検査結果との相関性、緑内障や糖尿病網膜症の早期発見に対する有効性について論文や学会等で発表している。

 

 血流改善や血管のケアには、抗酸化・抗糖化作用、温感作用のある食品・サプリメントの摂取など、体の内側からのアプローチをはじめ、マッサージや温熱・温浴による体の外側からのアプローチが重要となる。健康食品・サプリメント分野では、血流や冷えに関連する機能性表示食品が約300品、血管の柔軟性等に関する機能性表示食品が約60品受理されている(撤回除く)。主な機能性関与成分をみると、血流・冷え関連では、モノグルコシルヘスペリジン、イチョウ葉由来のフラボノイド配糖体およびテルペンラクトン、ヒハツ由来ピペリン類、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)、納豆菌由来ナットウキナーゼ、コーヒー豆由来クロロゲン酸、カシスアントシアニン、カメリアサポニンB2――などの素材を用いた製品が受理されている。ヘルスクレームは、「冷えにより低下した血流(末梢血流)の改善」をはじめ、「脳血流の改善に伴う記憶力の維持」「目の周りの血流量を増やす(ピント調節機能維持)」などが続いている。

 

 血管系では、2020年12月に松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3を配合した製品が「血管の柔軟性を維持」との表示で受理されて以降、カツオ由来エラスチンペプチド、黒大豆ポリフェノールなどの素材を配合した製品が、相次いで受理されている。ヘルスクレームは、「加齢とともに低下する血管のしなやかさ(柔軟性)(血管を締め付けた後の血管の拡張度)の維持に役立つ」旨が多い。また機能性関与成分ではないものの、高麗人参や田七人参、植物発酵エキス、ビタミンE、ミミズなど、血流改善素材の動きも堅調だ。

 

 一方、指圧効果や温熱効果を介して、体の外側から血流改善にアプローチするNon-Foods分野の動きも順調に推移している。特に近年は、健康・美容を目的に日常的に体を温めるライフスタイル“温活”が定着。また、冷えに無防備になりやすい“夏の冷え対策”の重要性を提唱する専門家も増える中、冷え対策・血流改善商材も、季節を問わず売れるようになっている。厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、家庭用医療機器の中で血流改善や温活サポートに有効な商材の2023年の市場規模は、国内出荷金額ベースで約710億円。前年比2.7%増となった。浴用剤(薬用入浴剤)は約557億円となっている。他にも血流改善や温活に有用な健康機器・雑貨類を加えると、Non-Foods分野だけでも2,000億円を超える市場を維持している。つづく

 

 

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