特集【食品受託試験/機能性表示支援】 紅麴問題受け、安全性への意識高まる

 右肩上がりで増えてきた機能性表示食品市場に激震が走った。主な要因は2つ。これまで届出に利用されて来た国立栄研の安全性データが商業的な利用を禁止されたこと。背景には米国ナチュラルメディシンとの契約の範囲を超えていることが発覚したことがある。また、12月31日、日本窓口の日本健康食品・サプリメント情報センター(Jafic)、同文書院が、過去に遡って使用料を取るなど発表、本件については、本紙でも各メーカーに取材を重ね、業界の反応としては概ね、「静観する」と報じた。その猶予期限を前に、1月頃から機能性表示食品の取り下げが相次いでいる。

 

 もう1点は、3月に小林製薬の機能性表示食品「コレステヘルプ」の健康被害問題が明らかとなった点。紅麹との因果関係が明らかにされていない状況にも関わらず、マスコミ各社が一斉にバッシング。なかには機能性表示食品制度自体を叩くメディアも。機能性表示食品の販売メーカーでは、紅麹を使用していないにも関わらず、「コールセンターへの問い合わせは過去最大規模」「定期購入の解約が出ている」など、影響を示すコメントが相次いだ。

 

 消費者庁は4月、検討委員会を立ち上げ、「機能性表示食品の在り方検討会を開催」。5月末には一定の方向性を示す方針を発表した。また3月28日から4月12日に掛けて機能性表示食品の受理企業への一斉調査を開始、医師からの健康被害情報の有無と、「健康被害の情報収集体制」が機能しているかなどの聞き取りを行い、4月18日にその結果を発表した。これら一連の問題を受け、健食・サプリメントの安全性や機能性に対する見直し機運が高まっている。食品CROへは、過去に試験を行った製品の安全性の再試験を実施する依頼などもあり、新たな試験需要が生まれつつある。一方で、試験を先送りにするケースもあった。機能性表示食品支援企業でも同様に進んでいた届出支援が一旦ストップ。機能性表示食品制度が変更になると届出が二度手間になるため、5月末の検討会の結果を待ち、再開するケースが増えてきている。

 

 ナチュラルメディシンや紅麹問題で新規案件の延期などは発生しているが、今回の取材では、進行中の試験が中止になるといった声は聞かれず順調に進行をしている。直近では「脂肪」「整腸」「認知」「睡眠」「ロコモ・フレイル」「血糖」「免疫」「フェムケア」「口腔」関連などの試験分野の依頼が多く、コロナ後も「免疫」に関する試験ニーズは高い。また、「PMS」「更年期」「膣内環境」など女性特有の健康課題解決に役立つ「フェムケア」分野も依頼が増加傾向にある。機能性表示食品では「膣内環境」に関する表示に加え、「月経」に関する製品上市もされ活発化している。

 

 より独自性の高いヘルスクレームを目指すため、クリニックやアカデミアと共同でエビデンス構築を行うケースも増えている。施設内に代謝測定室や花粉暴露室を備えることで、専門性の高い検査を行える機関もある。試験の目的が多様化する中、試験効率化や大規模調査のため、デジタルデバイスの導入やリモート試験を活用するケースも増えてきている。また、機能性表示食品の届出に関わらずヒト試験を行い、エビデンス取得し企業間プレゼンに使用する例も増えている。こうした目的には、10人ほどの小規模試験で実施されるケースが多い。つづく

 

 

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