特集【アクティブシニアサポート~注目の骨・筋肉素材~】 2ケタ増の企業も
国立長寿医療センター研究所は今年4月、「ヘルシーエイジング」をテーマに、愛知県東浦町の高齢者をモデルとした大規模な疫学研究を開始したことを発表した。ヘルシーエイジングとは、身体的、精神的機能を保ち、社会において自立した生活を行うことを意味する。産学官連携の取り組みで、健食分野からはヤクルト本社、味の素、天野エンザイム、UHA味覚糖などが参画し、各企業の機能性原料や製品を高齢者のフレイル予防に活かすべく研究開発をスタートしている。このような産学官連携による取り組みが進み、シニア層で課題の「フレイル(虚弱)」対策は、年々成果を上げてきている。
フレイルは病気ではなく、健康体と要介護の中間に位置する状態を指す。代表的な症状としては、骨粗鬆症や、サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)が挙げられる。この症状が発展すると要介護に繋がり、医療費逼迫の原因となることから、国では様々な対策を講じてきた。スポーツ庁が今年3月末に発表した令和4年度の『年齢と体力・運動能力』によると、高齢者(65歳から79歳)の体力テストの合計点は、前年よりも向上していた。高齢者の健康バロメーターの一つである「握力」について、2003年の65歳から74歳までの握力テストでは、男性が37.37kg、女性23.58kgだったのに対し、2023年では、男性38.43kg女性24.41kgと1kg以上増加。高齢者の体力は年々増加傾向が見られる。
これらの世代は、前期高齢者に分類され、全人口の中でも最も多い人口構成を占める。その中でも日頃から運動や栄養管理を心掛け健康意識の高い層がアクティブシニアと呼ばれている。通販協による「第30回全国通信販売実態調査」では、健食を通販で購入した世代は70代のアクティブシニアが全世代の中で最も多かったと公表している。高齢者の症例で骨格筋系の医療費が 3番目に多く、骨折や骨粗鬆症の予防が重要であると言われている。
こうした中、健食業界では、骨サポート素材の機能性研究・製品開発が活発化している。カルシウムサプライヤーの中には、2023年の供給量が2ケタ増を達成した企業も。また、「骨」分野の機能性表示食品の届出受理も安定した動きを見せる。現在、「骨」の機能性表示食品の受理件数は170品(5月7日現在、関節サポート除く)。主な機能性関与成分は、大豆イソフラボン、パプリカ由来カロテノイド、乳酸菌、マルトビオン酸、β-クリプトキサンチンなど。一方、原料サプライヤーからは、「まだまだ、骨にはカルシウム一択という消費者も多く、骨生成のメカニズムを啓発していかなくては」という声も聞かれた。機能性表示食品対応素材以外でも、ビタミンDやビタミンK2、ケイ素などが注目されている。特に高齢者のビタミンD不足が課題となっており、骨質の悪化や認知症に繋がる恐れがあると言われている。ビタミンD不足は日光浴の減少が要因の一つとされるが、外出が難しい人向けに、各方面からビタミンDサプリメントの必要性も紹介されている。つづく
詳しくは健康産業新聞1788号(2024.5.15)で
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