特集【プロポリス】 「抗菌」「抗ウイルス」で再脚光、中国・アメリカとの原料争奪戦も

 ブラジル・ミナスジェライス州は今年2月、プロポリスの収穫時期を迎えた。新物について、取材先からは「収穫量が減少した」「価格が上昇傾向にある」との声が。今年2月に現地を訪問した原料サプライヤーによると、「数年前は1kg90ドルだった原料相場は1.5倍に上昇した。最上級のものは2倍(180ドル)に跳ね上がった」という。グリーンプロポリスの起源植物・アレクリン(バッカリス)の群生量減少を要因のひとつとして指摘。「新芽の先端をかじるミツバチが、出来高を増やすために2番煎じもかじる状況が生じている。新芽の先端ほど有効成分が多いため、全体的な品質低下に繋がっている」という。他の原料サプライヤーからは、「現地養蜂家からランク低下の打診を受けた」「アルテピリンCやフラボノイドの有効成分は従来比で7掛、もしくは半分以下のものもあった」との声が寄せられた。

 

 原料高騰は、養蜂場を大豆畑に転換する地主が増えていることも要因のひとつ。ミナスジェライス州では農家(個人事業主)が土地を借りて養蜂するケースが多いため、地主の栽培転換の動きが価格上昇を後押し。「価格高騰は従来、異常気象などを背景にするものが多かったが、プロポリス生産量自体が限界に達しつつあるようだ。今後の仕入れに不安を感じる」とする声も寄せられた。さらに、中国やアメリカなどの需要増も、需給バランスの崩れに拍車を掛けている。こうした中、日本国内では値上げに踏み切るブランドオーナーも。「ここ数年、企業努力で価格据え置きに取り組んできたが、昨年秋から値上げした」「品質確保のためのコストアップを消費者に理解してほしい」との声が寄せられた。今年4月に値上げしたブランドオーナーからは、「駆け込み需要があった」との声も。原料動向に引き続き注視していく必要がありそうだ。

 

 高品質なプロポリス製品の製造には、原塊の品質確保が必要不可欠だ。各社では起源植物や産地を限定した提案のほか、アルコール抽出、ミセル化抽出、水抽出、超臨界抽出、超高圧抽出など、プロポリスの成分抽出法や飲みやすさ、濃度などを差別化ポイントとする提案を活発化させている。最終製品は、プロポリス原液やソフトカプセル、スプレー、キャンディ、ペットサプリなどが販売されている。取材先からは、「売れ筋は原液が圧倒的に多い」「ソフトカプセルが好調」といった声が。セルフケアや体調管理、抗菌対策を目的とする手堅いリピート需要に支えられている。つづく

 

 

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